2011 Fiscal Year Annual Research Report
高温条件下で働くタンパク質リフォールディング触媒の開発と速度論解析
Project/Area Number |
21580112
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田村 隆 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (40253009)
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Keywords | ジスルフィド架橋 / 蛋白質フォールディング / 酸化還元電位 / 平衡論支配 / 速度論支配 / シグナルペプチド配列 / ペリプラズム空間 / ジスルフィドイソメラーゼ |
Research Abstract |
DsbAは大腸菌の細胞外,ペリプラズム空間に分泌されたタンパク質に正しいジスルフィド架橋を形成する酸化還元触媒である。DsbAは,その高い酸化還元電位つまりチオール基に対する強い酸化力によって細胞内機能を発揮ていると理解されてきた。本研究では昨年までに活性中心Cys残基間のジペプチド配列をランダムに変異させたライブラリーを作成してその中から野生型の約40倍高い活性を示すDsbA[CDIC]を同定した。一方,DsbA[CDIC]と同じ酸化還元電位値を持つがin vivo活性は低いDsbA[CRIC]も得られた。そこで酸化還元電位が同じでも細胞内機能が大きく異なるメカニズムを検討した。大腸菌ペリプラズム空間に分泌させて発現した両酵素を精製してジスルフィドイソメラーゼ活性やシャペロニン活性を比較した。変性させたRNaseAやグリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素(GAPDH)を基質とするリフォールディング活性を評価した。まず変性RNaseAを正しく巻き戻す触媒作用においてDsbA[CDIC]がDsbA[CRIC]よりも高い触媒能を示した。また長時間(8h)反応ではDsbA[CDIC]はProtein Disulfide Isomeraseと同程度の活性回復を達成した。ジスルブィド結合を持たないGAPDHを巻き戻すシャペロニン活性においてもDsbA[CDIC]はDsbA[CRIC]よりも高い活性を示した。以上の結果よりDsbA[CDIC]は優れたジスルフィドイソメラーゼ活性とシャペロン活性を持つためにDsbA[CRIC]よりも高いDsbA活性を発現することが示唆された。なおDsbAによるインシュリン還元活性は,単純にジスルフィド還元反応なのでDsbA[CDIC]とDsbA[CRIC]は同程度の活性を示した。本研究によりDsbAの細胞内機能は平衡定数に由来する酸化還元電位よりも,タンパク質のリフォールディング速度などの速度論的性質により大きく依ることが示唆された。
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Research Products
(12 results)