2009 Fiscal Year Annual Research Report
微量金属に着目したストレス性神経障害のメカニズムとその予防
Project/Area Number |
21580116
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
玉野 春南 University of Shizuoka, 薬学部, 研究員 (30322697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 厚司 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (90145714)
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Keywords | うつ病 / 亜鉛不足 / 海馬 / ストレス / グルココルチコイド / グルタミン酸 / ラット |
Research Abstract |
うつ病患者は現代社会で増加しており、その予防・改善が望まれている。ラットに低亜鉛食を与えると、血清グルココルチコイドレベルが上昇し、うつ・不安様行動が増加する。血清グルココルチコイドレベルは摂食量低下によっても上昇する。亜鉛不足は摂食量を低下させることから、今回、低亜鉛食ラットの摂取量と同量の通常食を与えたラット(pair-fed)のうつ様行動を調べた。一方、グルココルチコイドは海馬においてグルタミン酸作動性神経活動を亢進させることが知られている。そこで、亜鉛不足時のうつ様行動と海馬グルタミン酸作動性神経の興奮性との関係を検討した。 うつ状態の指標となる強制水泳試験での無動時間は、低亜鉛食ラットと異なり、pair-fedラットでは有意に増加しなかった。低亜鉛食ラットのうつ様行動の増加には亜鉛摂取量の低下が関与することが明らかになった。また、低亜鉛食ラットの海馬を高カリウム溶液で刺激すると、細胞外グルタミン酸濃度は通常食ラットと比べて有意に増加した。この増加にグルタミン酸放出過程が関与する可能性がある。そこで、海馬スライスを用いて、苔状線維終末におけるFM4-64蛍光の減弱(開口放出)を測定したところ、開口放出は低亜鉛食ラットで有意に増加していた。一方、細胞外に放出されたグルタミン酸の再取込を担うGLT-1の海馬での発現量は、低亜鉛食ラットで増加していた。ストレス負荷に伴い海馬細胞外グルタミン酸濃度が増加することが知られている。強制水泳試験において、海馬グルタミン酸作動性神経活動は亜鉛摂取不足により過剰に亢進し、うつ様行動を増加させることが考えられる。
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Research Products
(15 results)