2010 Fiscal Year Annual Research Report
微量金属に着目したストレス性神経障害のメカニズムとその予防
Project/Area Number |
21580116
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
玉野 春南 静岡県立大学, 薬学部, 研究員 (30322697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 厚司 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (90145714)
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Keywords | うつ病 / ストレス / 亜鉛欠乏食 / 海馬 / グルココルチコイド / グルタミン酸 / 微量元素 |
Research Abstract |
海馬は学習・記憶ならびにストレス応答に重要な役割を担っている。ラットを亜鉛欠乏食で飼育すると、飼育開始2週間で血清グルココルチコイドレベルが上昇し、その後にTimm's染色法で検出されるシナプス(Zn^<2+>で作用する)亜鉛レベルが減少することを報告してきた。亜鉛欠乏によりうつ様行動が増加することがマウス、ラットなどの実験動物で報告されているが、この症状に関するメカニズムは明らかでない。本研究では、この症状におけるグルココルチコイドとシナプス亜鉛の関与を検討した。4週間亜鉛欠乏食で飼育したラットおよび膜透過型亜鉛キレーターであるclioquinol(5-chloro-7-iodo-8-hydroxyquinoline ; 30mg/kg, i.p.)投与6時間後のラットを用いて、海馬細胞外(シナプス)亜鉛をZnAF-2でイメージングした。また、強制水泳試験によりうつ様行動を観察した。その結果、亜鉛欠乏食飼育ラットでは、海馬シナプス亜鉛は減少し、うつ様行動が増加した。一方、clioquinol投与ラットでは海馬シナプス亜鉛は亜鉛欠乏食ラットよりも顕著に減少したが、うつ様行動は増加しなかった。海馬シナプス亜鉛が減少してもうつ様行動が増加しないことが明らかとなった。以上より、亜鉛欠乏食ラットのうつ様行動の増加には、海馬シナプス亜鉛の減少よりもグルココルチコイド分泌増加を介した脳機能変化が関与していることが示唆された。
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