2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるミロシナーゼ―グルコシノレート・システムの新たな機能解析
Project/Area Number |
21580124
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 小須弥 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 助教 (70292521)
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Keywords | 植物成長調節物質 / 光屈性 |
Research Abstract |
ミロシナーゼーグルコシノレート・システムの鍵となる酵素として、含硫配糖体のグルコシノレートを加水分解するミロシナーゼが知られている。シロイヌナズナにおいてはAtTGG1およびAtTGG2の二種類のミロシナーゼ遺伝子が知られている(Barth and Jander, Plant J.2006)。本研究はシロイヌナズナ芽生えの光屈性におけるミロシナーゼの役割を明らかにすることを目的としている。これまでに光属性刺激によってグルコシノレートの代謝物由来の成長抑制物質の生成が光照射側組織で誘導されることが報告されている。 今年度はシロイヌナズナよりも植物サイズが大きく、同じアブラナ科のダイコン芽生えを材料にして、光屈性刺激によって誘導される光照射側の成長抑制の原因の一つとして考えられている細胞の一時的な硬直化(cell wall stiffness)について詳細な検討を行った。トウモロコシ芽生えにおいて、過酸化水素(H_2O_2)およびリグニンの生成と成長抑制に関連性があることが示唆されていたため、様々な光エネルギー条件下で経時的にダイコン芽生えの下胚軸をサンプジングし、過酸化水素(H_2O_2)およびリグニンのカイネティクスを観察した。方法として、過酸化水素(H_2O_2)の場合はTissue printing法、リグニンの場合は胚軸切片を調製し、染色後に顕微鏡観察を行った。その結果、予想通りに光照射側組織における過酸化水素(H_2O_2)およびリグニンの蓄積が屈曲反応に先立ち、観察された。今後、グルコシノレートの代謝物由来の成長抑制物質を投与することによって実際に光屈性刺激を与えた場合と同様に過酸化水素(H_2O_2)およびリグニンの蓄積が観察されるか、またミロシナーゼ欠損株を用いて光屈性刺激に対する応答性を検討することで、光屈性反応におけるミロシナーゼの役割が解明されると期待される。
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