2011 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるミロシナーゼ―グルコシノレート・システムの新たな機能解析
Project/Area Number |
21580124
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山田 小須弥 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (70292521)
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Keywords | ファイトアレキシン / 光屈性 / 成長抑制物質 / 初期応答 |
Research Abstract |
植物が光の方向に屈曲する現象は"光屈性"と呼ばれ、植物の環境応答反応の代表的な生物機能である。この現象のメカニズムとして、植物が光屈性刺激(横方向からの青色光照射)を感受すると植物成長ホルモン・オーキシンが光側から影側組織へ横移動することで偏差成長が生じ、影側組織の成長が促進された結果、屈曲が起きるという説(1937年)が古くから提唱されてきた。しかしその後、光屈性の誘導はオーキシンの偏差分布ではなく、光側組織で新たに生成した成長抑制物質による光側組織の成長抑制に起因するというモデルが詳細な機器分析等により提唱された。アブラナ科植物において、その成長抑制物質生成のカギとなっているのがミロシナーゼーグルコシノレート・システムである。これまでの研究から、光屈性刺激によってグルコシノレートのアグリコンが光照射側組織で増加し、続いて過酸化水素(H_20_2)の増加にともなうcell-wall stiffnessが起きることで光側組織の成長抑制が 誘導されることが明らかになった。今年度は単子葉植物のトウモロコシ芽生えを用いて、ミロシナーゼーグルコシノレート・システムと類似した生物機能であるファイトアレキシン(DIMBOA)合成系と光屈性の関連性について詳細な検討を行った。DIMBOA等のbenzoxazinoid欠損変異株(bx1)と野生株における光屈性反応、過酸化水素(H_20_2)およびリグニン量を比較したところ、bx1変異株で顕著な過酸化水素(H202)およびリグニンの蓄積の減少が観察された。また、光屈性反応は最終的にはbx1変異株も野生株と同程度の光屈性摩応を示したが、屈曲開始時間炉穎著に遅れていることが明らかとなった。つまり、光屈性の誘導にはファイトアレキシン合成系によって生成した成長抑制物質が重要な働きを担っていることが示唆された。
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