2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物におけるトリプトファン代謝の機能解明を志向した新規阻害剤の開発と利用
Project/Area Number |
21580126
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
石原 亨 鳥取大学, 農学部, 准教授 (80281103)
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Keywords | セロトニン / トリプトフンデカルボキシラーゼ / インドール-3-酢酸 / 阻害剤 / 植物ホルモン / イネごま葉枯れ病菌 / 変異体 |
Research Abstract |
イネはイネごま葉枯病菌の感染に応答してセロトニンを蓄積する。これに対し、sl変異体では、前駆物質のトリプタミンを多量に蓄積することが知られている。植物ホルモンのインドール-3-酢酸(IAA)は、トリプタミンから合成される可能性があるため、イネごま葉枯病菌をsl変異体に接種し、IAAの蓄積に及ぼす影響を調べた。 水耕栽培によって生育させた播種後12日の実生の第3葉にイネごま葉枯病菌の胞子懸濁液を接種した。 一定時間、28℃でインキュベートした後、80%メタノールで抽出し、HPLCおよびLC-MSMSを用いてIAAを含むイネの代謝物を分析した。 sl変異体では、イネごま葉枯病菌の接種によってIAAの蓄積量が著しく増加した。一方、野生型植物では、IAAの蓄積量はあまり変化しなかった。sl変異体におけるIAAの蓄積はトリプトファンデカルボキシラーゼ(TDC)の阻害剤α-フルオロメチルトリプトファンの投与により阻害された。また、IAAの代謝物についても分析を行ったところ、イネごま葉枯病菌の感染を受けたsl変異体の葉では、3-ヒドロキシ-2-オキソインドール-3-酢酸(DiOxIAA)などが増加していることがわかった。以上の結果から、イネごま葉枯病菌が感染したsl変異体では、トリプタミンからのIAA合成が活性化していると推定された。
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Research Products
(3 results)