2009 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウト酵母コレクションを利用した新規生理活性物質の創製
Project/Area Number |
21580130
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
川井 悟 Tokyo Denki University, 理工学部, 教授 (10328528)
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Keywords | Saccharomyces cerevisiae / pdr遺伝子破壊 / フラボノイド類 / クマリン類 / MTT法 |
Research Abstract |
本申請では,出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いた多剤耐性ABCトランスポーター阻害物質の探索を行うためにスクリーニング法の構築を計画した。これには簡便な出芽酵母増殖率測定法が必要となったが,従来からの増殖率測定法であるペーパーディスク法,コロニーカウント法,比濁法等は,いずれも多検体の測定には適しておらず,さらに増殖率を定量的に把握することも困難であった。本研究では,動物細胞の増殖率測定に用いられるMTT法の出芽酵母への適用を試みた。MTT法はマイクロプレート中で細胞を培養し,生じたホルマザン色素をマイクロプレートリーダーにより測定する方法であり,多検体の増殖率を定量的に測定することが可能である。しかし,動物細胞に比べはるかに速い増殖速度を示す出芽酵母にMTT法をそのまま適用することは困難であり,MTT濃度,培養時間,培養菌体濃度等の条件を種々検討した結果,定量性および再現性の高い増殖率測定法を確立することができた。 次に,出芽酵母の多剤耐性遺伝子破壊株であるpdrΔ株に対して,当研究室で構築しているフラボノイド類およびクマリン類を基本とした化合物ライブラリーに対する薬剤感受性試験を行ったところ,C環エーテル酸素を窒素原子に置換したアザフラボン類が特定のpdrD遺伝子破壊株の増殖を抑制することを見いだした。特定の遺伝子破壊株に対して選択的な増殖抑制効果を持つ化合物はpdrD関連遺伝子産物の機能や役割について研究する上で有効なツールとなることが期待されている。
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