2011 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウト酵母コレクションを利用した新規生理活性物質の創製
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21580130
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
川井 悟 東京電機大学, 理工学部, 教授 (10328528)
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Keywords | 多剤耐性化関連遺伝子 / 出芽酵母 / ABCトランスポーター / フラボノイド / クマリン |
Research Abstract |
がん細胞の多剤耐性化には,過剰発現した薬剤排出トランスポーターによる抗がん剤の細胞外排出が関与していることが明らかにされており,薬剤排出トランスポーターの機能解明はがん化学療法における多剤耐性克服のための重要な課題と位置づけられている。本申請では,出芽酵母であるSaccharomyces cerevisiaeを用いた多剤耐性ABCトランスポーター阻害物質の簡便スクリーニング法の構築とABCトランスポーター阻害物質の探索的合成を主要な目的として,研究を実施した。 1)多剤耐性ABCトランスポーター阻害物質の簡便スクリーニング法の構築 代表的生物活性物質の多剤耐性化関連遺伝子破壊株に対する増殖抑制効果を調べることで,遺伝子変異株による評価パネルの構築を試みた。結果,ABCトランスポーター転写因子遺伝子破壊株の増殖を抑制する物質とABCトランスポーター自体の遺伝子破壊株の増殖に作用する物質に分類することができた。転写因子遺伝子破壊株の中ではPDR1遺伝子破壊株が,またABCトランスポーター遺伝子破壊株の中ではPDR10遺伝子破壊株が代表的であることが明らかとなった。これにより,すべての遺伝子破壊株によるスクリーニングをしなくても,多剤耐性化阻害物質のスクリーニングが可能であることが示唆された。 2)ABCトランスポーター阻害物質の探索的合成 本研究では,作用機序が明らかにされているフラボン,フラバノン,スチルベン,クマリン,フロクマリンなどの代表的化合物骨格にさまざまな置換基を導入することで,多様な化合物を含む多様性指向ライブラリーの構築を行った。このような化合物ライブラリーを遺遺伝子変異株による評価パネルに供したところ,特定遺伝子破壊株の増殖を特異的に阻害する化合物の創製に成功した。このような化合物を用いることで,多剤耐性化遺伝子の機能解明が進展することが期待される。
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