2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580131
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
渡邊 伸央 Tokyo University of Science, 理工学部・応用生物科学科, 助教 (80396928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 孝夫 東京理科大学, 理工学部・応用生物科学科, 教授 (60107422)
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Keywords | 神経科学 / 抗生物質 / 薬理学 / 老化 / 痴呆 |
Research Abstract |
変性神経疾患の発症に活性窒素の関与が示唆されている。研究代表者らは、カビ由来のアルカロイドneoechinulin Aに、ペルオキシナイトライト(ONOO^-)による神経細胞死を防ぐ薬理効果を見出し、本研究補助金によってこのメカニズムの解明に着手した。 まず、我々がONOO^-誘導剤として用いているSIN-1(3-morpholinosydnonimine)について、細胞死誘導メカニズムの詳細な解明を行った。その結果、SIN-1による細胞死は、実際にはONOO^-による細胞傷害ではなく、培地中の血清成分と、SIN-1から生じるスーパーオキシドと一酸化窒素とが反応して生じた物質による傷害であることを明らかにした。SIN-1は、酸化ストレス誘導剤として広く用いられており、本発見は、我々のneoechinulin A研究だけでなく、酸化ストレス研究分野全般に大きな波及効果があると思われる。 neoechinulin AによるSIN-1耐性賦与のメカニズム解明のため、neoechinulin Aの24時間処理による細胞の抗酸化系酵素の活性変化を調べた。その結果、neoechinulin A処理は細胞のグルタチオン(GSH)濃度を低下させること、しかしながら、スーパーオキシド不均化酵素(SOD)をはじめ、その他の抗酸化系酵素の活性にはほとんど影響を与えないことを見出した。通常、細胞はGSH量が高いほど、酸化ストレスに対して耐性を示す。これは、これまでの生物学の常識に反する発見であり、今後の詳細な解析が必要である。
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Research Products
(2 results)