2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋萎縮における抗ストレスアミノ酸の検索とその作用機構
Project/Area Number |
21580134
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
長澤 孝志 岩手大学, 農学部, 教授 (80189117)
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Keywords | 骨格筋萎縮 / シトルリン / ロイシン / 一酸化窒素 / 尾部懸垂 / ユビキチン-プロテアソーム |
Research Abstract |
シトルリンの骨格筋タンパク質の分解抑制メカニズムを明らかにするために、ラットにシトルリン溶液を経口投与し、経時的な骨格筋タンパク質の分解と合成の変化を解析した。投与2~4時間後に骨格筋からの3-メチルヒスチジンの放出速度が低下し、分解が抑制されたことが示された。合成の翻訳段階の指標である4E-BP1のリン酸化とその上流のシグナル因子であるAktのリン酸化は投与4時間で最大値を示したことから、分解と合成では経時変化が異なり、シグナル伝達系の差異が示唆された。次いでNO合成阻害剤であるアミノグアニジンあるいはL-NAMEを投与後、シトルリンをラットに投与してNOの関与を調べたが、阻害剤の影響は認められなかった。したがってシトルリンの代謝で生成するNOは分解抑制には関与しない可能性が考えられた。 次に、非運動ストレス(尾部懸垂)モデルラットにおけるロイシンの効果を検討した。10%カゼイン食で飼育しているラットに7日間の尾部懸垂を施し、1%ロイシン添加飼料の効果を調べた。尾部懸垂によって顕著な骨格筋重量の減少、3-メチルヒスチジン放出速度、カルパイン活性、プロテアソーム活性、ユビキチンリガーゼ遺伝子発現、脂質過酸化の増加がみられた。しかし、ロイシン摂食による抑制効果はみられなかった。一方、懸垂解除後の骨格筋量の回復はロイシンの摂食で早まり、このとき合成の促進と分解の抑制が示された。ロイシンの摂食はストレス負荷時より回復時に効果的であることが明らかになった。
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