2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋萎縮における抗ストレスアミノ酸の検索とその作用機構
Project/Area Number |
21580134
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
長澤 孝志 岩手大学, 農学部, 教授 (80189117)
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Keywords | 骨格筋 / タンパク質分解 / タンパク質合成 / アミノ酸 / シトルリン / 廃用性筋萎縮 / 低栄養 |
Research Abstract |
前年度までの研究により、尿素サイクルのメンバーであるシトルリンに骨格筋タンパク質分解抑制作用があることが明らかになった。本年度はシトルリンの作用を明確にするために、代謝産物の動態と分解系、合成系の関係を検討した。ラットにシトルリン溶液を経口的に1回だけ74mg投与し、投与後の経時的な骨格筋タンパク質の分解速度を測定し、また骨格筋のタンパク質分解系の変動をユビキチン化タンパク質のウエスタンブロットから解析した。さらに血漿、骨格筋、肝臓のアミノ酸濃度を測定した。シトルリンの投与で血漿、骨格筋においてはアルギニン濃度が増加し、その変化とほぼ同調する形で分解速度も抑制された。このとき、アルギニン濃度は投与後6時間まで高いレベルを維持していた。一方、合成の翻訳因子の活性には変化はなく、またユビキチン化タンパク質も変動しなかったことから、シトルリンは合成に影響せず、またユビキチン/プロテアソーム系以外の分解系に作用する可能性が示唆された。次に1%シトルリン含有10%カゼイン食を「1週間摂取させたラットの骨格筋量の変化を調べた。その結果、わずかではあるが、低タンパク質摂取による筋萎縮を抑制することが示され、このときも分解速度の抑制が作用している可能性が示唆された。以上より、シトルリンはロイシン、トリプトファン、リジンと同様に抗ストレスアミノ酸として作用しているが、その作用機構は異なることが考えられた。. 尾部懸垂による廃用性筋萎縮モデルラットに1%シトルリン含有10%カゼイン食を摂取させ、1週間の宙づりを試みたところ、筋肉量の減少は顕著に認められたが、シトルリンの効果は認められなかった。尾部懸垂モデルにおける分解系の発現が経時的に一定ではないため、シトルリンの効果が明確でなかった可能性があり、この点についてはさらに検討が必要であると考えられた。
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