2011 Fiscal Year Annual Research Report
免疫(感染防御)システムに有利なタンパク質摂取法の解明
Project/Area Number |
21580135
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大荒田 素子 千葉大学, 真菌医学研究センター, 助教 (40211784)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀井 克彦 千葉大学, 真菌医学研究センター, 教授 (10214545)
|
Keywords | 栄養学 / 感染症 / 高タンパク質 / 免疫学 |
Research Abstract |
前年度までの研究により、高タンパク質摂取により感染防御能が低下することが明らかとなった。その一因として、感染のごく初期に脾臓で誘導される自然免疫関連遺伝子の発現が、低タンパク質や標準タンパク質摂取時とくらべて弱いことが明らかになった。今年度はParacoccidioides brasiliensis(当研究で感染実験に用いた病原真菌)の標的臓器であり、さらに免疫臓器でもある肝臓が、高タンパク質摂取により受ける影響を明らかにすることで、高タンパク質摂取による感染防御能の低下の原因を探ることを目標とした。 実験動物(マウス)に軽度の絶食後、高タンパク質食を摂取させると、復食数時間内に肝実質細胞傷害が生じた。肝細胞傷害の程度は、餌に含まれたタンパク質の量(重量%:35~50%)に比例していた。一方、低タンパク質や標準食では、傷害は生じなかった。また復食に伴う肝臓での熱ショックタンパク質の発現が、低タンパク質や標準タンパク質食の摂取により十分誘導されたのに対して、高タンパク質食の摂取では、軽減された。さらに、その後のDNA修復など細胞修復関連遺伝子の発現も、高タンパク質食の摂取により誘導が強まることはなかった。 熱ショックタンパク質は、様々な傷害やストレスから細胞を守る機構の中で重要な役割を担っていることが知られている。高タンパク質食の摂取による熱ショックタンパク質やDNA修復遺伝子の誘導低下は、真菌や細菌、ウイルスなどの病原体から肝細胞が受けるダメージを軽減し、細胞を保護し、かつ病原体を駆除する上で、不利益に働くことが推察された。
|