2009 Fiscal Year Annual Research Report
ビート食物繊維は視床下部レプチンレセプター発現増加によりラットの食欲を低下させる
Project/Area Number |
21580143
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
岸田 太郎 Ehime University, 農学部, 准教授 (80304658)
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Keywords | 食物繊維 / 摂取エネルギー / レプチン / 視床下部 / ラット |
Research Abstract |
ビート食物繊維を混餌投与した飼料を摂取すると正常なレプチンレセプター(Ob-Rb)を有するZucker-leanラットでは摂取エネルギーが無繊維飼料群よりも有意に低下したが、Ob-Rbが機能欠損したZucker-obeseラットでは試験期間を通じて差が見られなかった。ビート食物繊維を摂取するとラット視床下部Ob-Rbの遺伝子発現は摂食繁忙期である暗期に増加し、これに伴い視床下部食欲抑制因子であるCRHおよびPOMCの遺伝子発現が増加し、食欲促進因子であるNPY、AGRPおよびOrexinの遺伝子発現が減少した。ビート食物繊維による抗肥満効果の機構において、Ob-Rb発現増加が支配的な役割を果たしていることが強く示唆された。ビート食物繊維を摂取するとラット血清グレリンの血清濃度は摂食繁忙期である暗期の終わりに有意に増加した。グレリンは消化管から分泌される食欲促進ホルモンであり、ビート食物繊維による摂取エネルギー低下と相反する。暗期にグレリンとは別の機構によりエネルギー摂取量が低下したことに対し、反発的に応答したものと推測している。血清レプチンもグレリンと同じ時間に逆に低下している。レプチン分泌もグレリン同様エネルギー摂取量低下に反発的に応答したと推測している。今後はグレリン、レプチン以外の消化管からのシグナルについて検討し、消化吸収されない食物繊維がいかにして視床下部の遺伝子発現を制御しうるかを明確にする必要がある。
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