2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580145
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
柳田 晃良 佐賀大学, 農学部, 教授 (00093980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永尾 晃治 佐賀大学, 農学部, 准教授 (10336109)
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Keywords | 脂質構造異性体 / 高脂血症 / 動脈硬化 / 糖尿病 / 高血圧 |
Research Abstract |
本研究では、昨年度に引き続き、マウスやラットを用いたin vivo実験系により、脂質構造異性体が病態発症(特に脂質代謝異常)に及ぼす影響について検討した。食事脂肪酸の炭素数や二重結合の有無が生理活性に大きく影響することは周知の事実であるが、脂肪酸の二重結合をオゾニド化したオゾン化脂質が抗菌作用・抗酸化作用・抗腫瘍作用・抗炎症作用など様々な生理活性を発揮することが最近報告されている。そこで本年度は、まず肥満モデル動物の病態発症に及ぼすオゾン化脂質摂取の影響について検討を行った。その結果、肥満モデルZucker fa/faラットにおいて、オゾン化脂質摂取は肝臓重量、肝臓トリグリセリド濃度および血中肝障害マーカーレベルを顕著に低下させ、その作用機序としてオゾン化脂質摂取による血中PAI-A濃度の低下が関与していることが示された。よって、オゾン化脂質は、肥満誘発性の炎症性代謝異常を改善する成分として期待できることが示された。また、グリセロ脂質の構造の違い(トリグリセリドとリン脂質)や、構成脂肪酸の構造の違い(共役脂肪酸やn-3系多価不飽和脂肪酸)により、栄養生理機能が大きく異なることが明らかとなっている。先の我々の研究において、肥満・糖尿病モデルであるZucker(fa/fa)ラットのメタボリックシンドロームおよび非アルコール性脂肪性肝疾患の発症に及ぼす影響において、大豆由来の各種リン脂質でそれぞれ異なることが示された。本研究では、それら各種リン脂質の塩基部分のみの摂取が、どのような影響を及ぼすか比較検討を行った。その結果、イノシトール以外の塩基単独では肝臓脂質濃度および肝臓障害マーカーレベルに影響が認められず、ホスファチジルコリンやホスファチジルセリンで認められた生理反応はリン脂質ととしての作用によるもであることが示唆された。以上のことから、脂質構造異性体の構成成分の変更・付加や結合位置の制御が、病態発症の予防・改善に効果的であることが示され、最も生理作用が強い組み合わせに関する検討が今後の課題である。
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