2009 Fiscal Year Annual Research Report
酢酸のメタボリックシンドローム抑制効果に関する研究
Project/Area Number |
21580150
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
山下 広美 Okayama Prefectural University, 保健福祉学部, 教授 (70254563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木本 眞順美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (40108866)
高橋 吉孝 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (10236333)
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Keywords | 脂肪代謝 / 筋管細胞 / 肥満 / メタボリックシンドローム / 酢酸 / AMPK / GLUT4 / ミオグロビン |
Research Abstract |
これまで酢酸を肥満動物に摂取させるとエネルギー消費量が増加し、ミオグロビンおよびGLUT4の転写量が増加することを報告した。本研究では、筋芽細胞を用いて酢酸の脂肪代謝促進作用とそのメカニズムを明らかにすることを目的とし、本年度は、L6筋芽/筋管細胞を用いて、酢酸によるAMPK活性化とミオグロビンおよびGLUT4発現との関連、また酢酸による脂肪代謝や糖取り込みの促進作用およびそれらの機序について検討した。L6筋管細胞に酢酸を添加すると、速やかに吸収された。細胞内核酸濃度を測定するとAMPが増加しAMP/ATP比は増加した。AMPキナーゼ(AMPK)のリン酸化が促進し、AMPK阻害剤であるcompoundCによりリン酸化は低下した。さらにミオグロビンおよびGLUT4のmRNA発現レベルをリアルタイムPCR法により測定した結果、ミオグロビンおよびGLUT4遺伝子は、酢酸添加により増加し、タンパク質レベルも増加した。ミオグロビンやGLUT4遺伝子の発現制御には転写因子MEF2Aが関わると報告されている。酢酸によりAMPKのリン酸化が促進するとMEF2Aが活性化されるかどうかを調べたところ、酢酸の添加により核内におけるMEF2Aレベルが増加していた。またゲルシフト分析によりMEF2AのDNA結合活性を測定すると、酢酸の添加により活性が増加した。さらに共焦点レーザー顕微鏡を用いてMEF2Aの細胞内局在を観察すると、酢酸添加によりMEF2Aの局在は核内に移行していた。これより、酢酸はAMPKの活性化を促進し、転写因子MEF2Aのリン酸化、核内移行およびDNA結合能を増加させミオグロビンの転写を増加すると示唆された。酢酸による脂肪代謝や糖取り込みも促進すると示唆された。
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