2010 Fiscal Year Annual Research Report
食品に含まれるピロロキノリンキノン誘導体の検索と定量に関する研究
Project/Area Number |
21580154
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
熊澤 武志 昭和大学, 医学部, 教授 (00186470)
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Keywords | 食品化学 / 栄養生化学 / ピロロキノリンキノン |
Research Abstract |
本年度は以下の検討を行った。 1. アミノ酸結合型PQQ誘導体の化学合成:L-バリン、L-グルタミン、L-ロイシン、L-イソロイシン及びL-フェニルアラニンのPQQ誘導体の合成では塩酸を用いてpH=4に、またL-チロシンに関してはアンモニア水を用いてpH=9に調整した溶液のインキュベーション法を行ったところ、化学合成が改良され、純度は85~93%相当であった。合成品のマススペクトル解析では少量のアミノ酸由来スペクトルの混入が確認されたが、減算処理を行うことでアミノ酸結合型PQQ誘導体由来のマススペクトルライブラリーを構築することができた。 2. 食品中アミノ酸結合型PQQ誘導体の抽出:本年度は農産物(穀物、野菜、果物)、水産物(魚介類、海草)、畜産物(食肉、卵)等について、Kumazawaらの方法(Biochem. J., 1995)に準じてアミノ酸結合型PQQ誘導体の抽出を行った。また、イオン交換樹脂による抽出法を新たに考案して、この方法を海草類及び果物の分析に応用することができた。アミノ酸結合型PQQ誘導体の検出にはHPLC/MS-Negative ESI法を用い、プリカーサーイオンを指標にして回収率を計算したところ概ね50%以上が得られた。 3. 食品中アミノ酸結合型PQQ誘導体の同定及び定量:マススペクトルライブラリーを参考にして、2.で得られた食品由来の抽出物をHPLC/MS及びHPLC/MS/MS装置に導入し、得られたマススペクトルからアミノ酸結合型PQQ誘導体の同定を試みた。その結果、測定した全ての食品中にはグリシン-PQQ誘導体が最も高い比率(約70~80%)で存在することが明らかとなった。また、その濃度は概ね数ng~数十ng/gの範囲であることが選択反応モニタリング法によって明かとなった。
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