2009 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症モデル動物における水溶性フラボノイドの機能性
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21580155
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
上原 万里子 Tokyo University of Agriculture, 応用生物科学部, 教授 (20211071)
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Keywords | イソフラボン / ヘスペリジン / 水溶性フラボノイド / 原発性骨粗鬆症 / 続発性骨粗鬆症 / 卵巣摘出骨粗鬆症モデルマウス / マグネシウム欠乏ラット / 糖尿病モデルラット |
Research Abstract |
高齢者人口の増加に伴い骨粗鬆症は重要な疾患となり、その予防対策が必須となっている。研究代表者らは、エストロゲン様作用を有する大豆イソフラボンの骨粗鬆症予防効果およびイソフラボンとは異なる作用機序で骨量減少抑制機能をもつ柑橘系フラボノイドのヘスペリジンについてもその新規な機能性を解明してきた。しかし、これら2物質は共に疎水性が強く、食品添加物としての利用性には限界がある。そこで、研究代表者は水溶性を付加したイソフラボン及びヘスペリジンに着目し、摂取後の体内動態及び生理作用、特に3種の水溶性フラボノイドの骨量減少抑制機能について、骨粗鬆症の発症機序が異なる3種のモデル動物(卵巣摘出閉経後骨粗鬆症(原発性)モデル(OVX)マウス、マグネシウム(Mg)欠乏ラット及びII型糖尿病(続発性骨粗鬆症)モデルラットを用いて検討することを目的とした。平成21年度は酵素処理による糖転移を施し、水溶性を高めたαG-イソフラボン(ISO)を用い、まずは体内動態について検討したところ、αG-ISO由来のDaidzein, GenisteinおよびDaidzein代謝産物のEquol, O-DMAはNativeなイソフラボン配糖体と比較し、早期に血中に検出される傾向を示した。また、OVX及びMg欠乏の骨量減少モデル動物に対し、αG-ISOは骨吸収抑制作用により骨量減少を抑制した。その際、Nativeなイソフラボン配糖体投与に比較し、αG-ISO投与ではO-DMAは高いBio-availabilityを示したものの、Nativeな配糖体との顕著な差は認められなかった。更に難消化性環状オリゴ糖であるサイクロデキストリン(CD)で包接させ水溶性を高めたヘスペリジンアグリコン(Hes)をII型糖尿病モデルラットに投与したところ、糖質、脂質代謝に関連する遺伝子発現及び酵素活性の変動により各々の代謝を改善し、血糖値、インスリン濃度、血中アディポネクチン濃度、血中及び肝臓中性脂肪、コレステロール値が対照の正常群に近づく結果となった。CD-Hesの骨代謝に対する影響については次年度以降で検討する予定である。
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