2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨粗鬆症モデル動物における水溶性フラボノイドの機能性
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21580155
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
上原 万里子 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (20211071)
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Keywords | イソフラボン / ヘスペリジン / 水溶性フラボノイド / 原発性骨粗鬆症 / 続発性骨粗鬆症 / 卵巣摘出骨粗鬆症モデルマウス / マグネシウム欠乏ラット / 糖尿病モデルラット |
Research Abstract |
高齢者人口の増加に伴い骨粗鬆症の予防対策が必須となっている。研究代表者らは、エストロゲン様作用を有する大豆イソフラボンの骨粗鬆症予防効果および異なる機序で骨量減少抑制効果を発揮する柑橘系フラボノイドのヘスペリジン(HES)についてもその新規な機能性を解明してきた。しかし、これらは共に疎水性が強く、食品添加物としての利用性には限界がある。そこで本研究では水溶性を付加した両フラボノイドに着目し、その体内動態および生理機能について、骨粗鬆症発症機序の異なる3種のモデル動物を用いて検討することを目的とした。平成23年度は骨量減少モデルとしてこれまでの若齢に対し、高齢II型糖尿病モデル(GK)ラットを用い、AIN93G組成の対照食、HESまたは難消化性環状オリゴ糖のサイクロデキストリン(CD)で包接し水溶性を高めたヘスペリジンアグリコン(Hes)添加食を投与し、正常動物のWistarラットにも同様の飼料を8週間投与した。その結果、GK群において上昇した血糖値、インスリン濃度、血・肝臓中脂質量、変動した糖代謝関連サイトカイン・酵素は、HESおよびCD-Hes投与により正常ラットに近づく改善効果が観察された。またGKラットでは糖尿病による続発性骨粗鬆症が引き起こされ、低下した骨密度・骨強度、骨代謝マーカーの変動もHESおよびCD-Hes投与により改善された。このメカニズムを検討するため、肝臓および大腿骨からRNAを抽出し、関連遺伝子発現変動を定量したところ、HESによる肝臓での糖・脂質代謝改善はPPAR-γ遺伝子発現の変動を介したインスリン抵抗性改善に関与することが示唆され、大腿骨では骨吸収関連遺伝子発現が抑制され、破骨細胞分化・活性化抑制にはたらき、骨形成関連遺伝子発現は逆に促進され、骨芽細胞活性化に寄与する可能性が示唆された。水溶性CD-Hesと疎水性HESとの差異は血中Hes濃度、血・肝臓中コレステロール濃度、Ca吸収率、骨代謝マーカー、肝臓のHMG還元酵素遺伝子発現などに現れ、いずれもCD-Hesが強く作用した。
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