2011 Fiscal Year Annual Research Report
リパーゼ触媒アシル化によるアントシアニン色素の高機能化
Project/Area Number |
21580165
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Research Institution | Minami Kyusyu University |
Principal Investigator |
寺原 典彦 南九州大学, 健康栄養学部, 教授 (60155471)
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Keywords | アシル化アントシアニン / リパーゼ / アシル化 / 安定性 / 機能性 |
Research Abstract |
平成22年度のリバーゼ触媒アシル化の研究結果では,アルコール基質-ビニルエステル-Novozym[○!R]435-シクロヘキサノンが最適な反応の組み合わせと判明したものの,シアニジン3-グルコシド(C3G)を含むフラボノイド配糖体類はほとんど反応しなかった。 1.酵素検討;そこで,C3G-ケイ皮ビニル(vCn)/オクタン酸ビニル(vOct)-シクロヘキサノンの組合せ反応系で,Novozym[○!R]435以外の各種リバーゼによる反応を検討したが,用いた5種の酵素はいずれも反応しなかった。 2.最適反応系で反応性が高かった基質アルブチンとサリシンおよびvCnとvOctを用いて大スケールでのアシル化を行った。単離はHPLC分取を用いれば比較的容易であった。また,単離物の分子量測定の結果,いずれも目的のモノアシル化体であった。 3.アントシアニン(AN)類の化学的アシル化法 (1)C3Gと酸クロリドを反応させた結果,脂肪族酸クロリド類のみに速やかな反応が起こった。 (2)5種類の脂肪族酸クロリド類を用いて,大スケールで反応させ,HPLC分取後,NMRによる構造解析の結果,脂肪酸アシル化C3G体はいずれも脂肪酸1分子がC3Gのグルコースの6-位OH基にアシル化したモノアシル化体であった。 以上の検討より,アルコール基質に最適の反応系において,他のリバーゼ類を用いた場合でも,C3Gを含むフラボノイド配糖体は反応性が悪く,結果的に目的のC3Gのアシル体の調製まで至らなかった。一方で,C3GなどのAN類は化学的に脂肪酸-アシル化されたことにより,原理的にAN類のアシル化は可能であることが示された。今後,(1)基質の構造的な違いによる酵素特異性の差,(2)AN(フラボノイド)類によるリパーゼ阻害の有無などを追求する必要があると考えられた。
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