2009 Fiscal Year Annual Research Report
血糖値の上昇抑制作用を有する遅消化性澱粉の物理化学および機能特性に関する研究
Project/Area Number |
21580166
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
佐々木 朋子 National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所・食品機能研究領域, 主任研究員 (10353939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 かおる 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品機能研究領域, ユニット長 (00353938)
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Keywords | 澱粉ゲル / 遅消化性 / 結晶性 |
Research Abstract |
本年度は、澱粉消化性の制御要因を明らかにし、遅消化性を示す澱粉の特性を解明することを目指し、澱粉の結晶性と消化性の関連性を解析した。糯米から精製した澱粉を試料として、澱粉ゲルを調製し、in vitro評価法による澱粉消化性の解析を行ったところ、顕著に消化速度の遅い糯米品種を見出したので、その品種を含め3品種の糯米澱粉の結晶性および再結晶化の程度を示差走査熱量測定(DSC)によって解析した。生澱粉の結晶性を比較すると、消化速度の遅い糯米澱粉は糊化開始、ピーク、終点温度および糊化時の吸熱エンタルピーが他の糯米澱粉より顕著に高く、吸熱ピークの幅が狭かったため、結晶部が多く、規則正しい結晶性をもつ澱粉であることが示唆された。さらに澱粉ゲルを調製した後、1日および7日間冷蔵保存することによって澱粉を老化させた試料のDSC測定を行った。澱粉ゲルの消化速度が遅い試料では、冷蔵1日後の再糊化時の吸熱エンタルピーが極めて高く、澱粉の再結晶化(老化)が急速に進行していることが示された。さらに7日間冷蔵保存したゲルについても再糊化時の吸熱エンタルピーが高い傾向が認められた。以上の結果から、澱粉ゲルの消化速度が遅い糯米澱粉は、生澱粉および再結晶化(老化)した澱粉のいずれの場合も他の試料に比べて結晶化の程度が高く、その結晶性の違いが消化抵抗性の要因になっていることが考えられた。 また、遅消化性澱粉(SDS)を増加させる物理的要因を解明するために、食品の単純なモデル系として澱粉ゲルについて消化性と物理特性の関連性を明らかにすることを目的として、本年度は澱粉に多糖類を添加した混合ゲルを調製し、消化性の解析を行い、消化性の違いが顕著な試料の選抜を行った。
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Research Products
(1 results)