2011 Fiscal Year Annual Research Report
血糖値の上昇抑制作用を有する遅消化性澱粉の物理化学および機能特性に関する研究
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21580166
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
佐々木 朋子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品機能研究領域, 主任研究員 (10353939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 かおる 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品機能研究領域, 上席研究員 (00353938)
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Keywords | 澱粉 / 遅消化性 / 非澱粉性多糖類 |
Research Abstract |
本年度は、澱粉消化性の制御要因を明らかにし、澱粉中の遅消化性澱粉(SDS)を増加させる要因を解明するために、澱粉と非澱粉性多糖類の分散系を用いて、澱粉の消化作用を制御する多糖類の探索を行うとともに、分散系の粘度と澱粉消化性との関連性の解析を行った。 具体的には、ハイアミロースコーンスターチおよび米澱粉に多糖類(キサンタンガム、グアガム、コンニャクグルコマンナン、ペクチン)を添加した分散系について、in vitro評価法による澱粉消化性の解析と、レオメーターを用いて粘度の解析を行った。添加した多糖類はすべて、消化酵素による澱粉分解性に対して抑制効果を持ち、澱粉中のSDSを増加させる傾向を示した。澱粉分解性に対する抑制効果の程度は、多糖類の種類によって異なり、キサンタンガムが顕著に高い抑制効果を示した。添加した多糖類には増粘効果があり、澱粉懸濁液に添加すると粘度は上昇した。粘度の試料間の傾向はずり速度によって異なり、ずり速度が1.15(1/s)以上では、コンニャクグルコマンナンを添加した澱粉懸濁液が最も高い粘度を示したが、1.15(1/s)以下ではキサンタンガムがコンニャクグルコマンナンより高い値を示した。粘度が高いコンニャクグルコマンナンよりも、粘度を上昇させる効果の低かったペクチンの方が澱粉分解性に対する抑制効果が高かったことから、多糖類の種類による抑制効果の差は、粘度の違いでは説明できないことが明らかになった。澱粉懸濁液に混合した多糖類4種類について、透析膜を用いて多糖類共存下での透析外液のグルコース量を測定し、グルコース単体の量と比べると、キサンタンガムの共存下ではグルコース量が顕著に少ないことから、グルコースとキサンタンガムの相互作用により拡散が遅くなり、分解が抑制されることが推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
澱粉消化性と澱粉結晶性の関連性を明らかにし、さらに澱粉分解性を顕著に抑制し、遅消化性澱粉(SDS)増強に寄与する多糖類を明らかにした成果は、すでに筆頭著者として国際誌に発表できたことから、当初の研究実施計画は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
澱粉の共存成分として、非澱粉性多糖類に着目し、澱粉分解性を抑制する多糖類を探索した結果、キサンタンガムが顕著な抑制効果をもつことが明らかになったので、本年度はその制御メカニズムの解明を重点的に行う。具体的には水晶振動子マイクロバランス(QCM)を用いて、澱粉とキサンタンガムの相互作用を解析する予定である。さらに、澱粉分解性に対する抑制効果をもつバイオポリマーの探索は引き続き行う予定である。
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Research Products
(3 results)