2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580177
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中田 誠 Niigata University, 自然科学系, 准教授 (80217744)
|
Keywords | 海岸クロマツ林 / 植生遷移 / 常緑広葉樹 / 土壌温度 / 鳥類 / 林分構造 / 地球温暖化 |
Research Abstract |
1.新潟市の西海岸公園の海岸クロマツ林では、これまでの調査で25種類の常緑広葉樹の成育が確認され、そのうちの18種類が、本来は新潟県に天然分布していない暖地性の種類であった。 2.常緑広葉樹は樹齢30年未満の若い個体が大部分であり、タブノキやモチノキなどの高木性樹種では、より早く侵入したサクラ類などの落葉広葉樹と同等の樹高にまで順調に成長し、クロマツと常緑広葉樹からなる複層林に遷移している場所が随所に見られた。 3.植生遷移が進行して林内が藪になったクロマツ・広葉樹混交林では、除伐・下草刈りを行った林分に比べて冬季の気温や土壌温度が高く、このような低温緩和が暖温帯性常緑広葉樹の生存や成育に有利に働いていると考えられた。 4.西海岸公園内にある「野鳥の森」で行われた過去20年間の鳥類標識調査データを解析した結果、森林性の鳥類で捕獲数が増加傾向を示す種類がいくつか見られた反面、草地、疎林、人家周辺などの開けた場所を選好する種類は捕獲数が減少しており、海岸クロマツ林の植生遷移による林分構造の変化が鳥類群集に影響を及ぼしていることが明らかになった。 5.過去20年間の鳥類の春の渡り時期(中央到着日)と新潟市の4~5月の平均気温との関係を解析した結果、6種類の鳥類において、春季の気温が高いほど統計的に有意に早く新潟市に渡ってきていることが明らかになり、将来の地球温暖化が鳥類の生活史に及ぼす影響が懸念された。
|
Research Products
(1 results)