2010 Fiscal Year Annual Research Report
ブナ科の堅果生産における自殖回避メカニズムの解明とその生態学的意義の検討
Project/Area Number |
21580179
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
向井 讓 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80283349)
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Keywords | コナラ / 人工交配 / 配偶子選択 / 受精卵診断 / DNA多型 |
Research Abstract |
ブナ科における自殖回避機構を明らかにするため、岐阜県関市百年公園において、コナラの交雑実験を実施した。着花した3個体を対象として高所作業車を利用して除雄を行い、交配袋を掛けて雌花を隔離した。その後、無受粉、自家受粉、自家花粉及び他家花粉の混合花粉による受粉の処理をおこなった。受粉した雌花は、受粉後8週間目まではほぼ2週間おきに採集し、FAAを用いて固定した。このとき自然受粉の雌花も同時に採集した。採取した堅果を切断し、内部の胚珠の発達を観察したところ、交配様式にかかわらず受粉後4週間頃より堅果に含まれる全6個の胚珠の中から1個が他の5個よりも大きく成長し始めることが明らかになった。このことから、コナラでは1個の堅果内における胚珠選別は受精の有無とは無関係であることが明らかになった。 自然受粉したコナラの雌花から単離した胚珠を用いて予備的にマイクロサテライトマーカーを利用した遺伝子解析を行った。胚珠の組織の大部分は母樹由来の組織であるが、母樹が保有する2個の対立遺伝子に加えて、花粉親由来と推察される対立遺伝子も検出された。このことから、人工交配で得た受精直後の胚珠についても同様の手法で解析ができることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)