2012 Fiscal Year Annual Research Report
ブナ科の堅果生産における自殖回避メカニズムの解明とその生態学的意義の検討
Project/Area Number |
21580179
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
向井 讓 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80283349)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 自家不和合性 / ブナ科 / 自殖回避 / 人工交配 / 資源制約 |
Research Abstract |
ブナ科をはじめとする広葉樹における自殖回避のメカニズムとその生態学的意義を明らかにすることを目的として、ブナ及びコナラを対象として、自家受粉を含む様々な交配様式による人工交配を行い、その後の堅果の発育を観察するとともに、受精直後の胚珠の遺伝子診断により、自殖回避のメカニズムを明らかにすること、及び堅果の落下状況を調査した。 他家花粉(3または4個体混合)を用いて受粉させたコナラの雌花(未熟堅果)から堅果ごとに各6個全ての胚珠を取り出して、SSRマーカーを用いて遺伝子診断をおこなった。その結果、受精終了時に複数の胚珠において母樹とは異なるサイズのDNA断片(対立遺伝子)が検出され、複数の胚珠が受精可能であることが推察された。 一方、コナラの胚珠発達過程を実体顕微鏡で観察したところ、堅果中に存在する6個の胚珠のうち1個が受精前に発達し、残り5個は発達しないことが観察され、受精前に母樹による胚珠の選択・中絶がおこなわれていた。胚珠の選択・中絶は受粉様式(無受粉、自家受粉、他家受粉)にかかわらず観察された。 ブナについても同様に堅果中の6個の胚珠の内5個の基部が褐変している様子が観察され、母樹による胚珠の選択・中絶はブナ科共通の現象である可能性が示唆された。 コナラ林内にシードトラップを設置し、5月から11月まで月1回のペースで落下堅果を採集し、落下数および成熟状況、献花の乾燥重量を測定した。その結果、未熟堅果の落下数は5月が最も多く、6月~8月まで5月の半数程度の落下数が維持され、以降急減した。落下堅果の乾燥重量は5月から6月の間と成熟堅果の落下が始まる9月以降急増した。5月の落下数が最大であったこと、5月から6月に落下堅果の重量が約10倍に増大したこと、6月までに受精することから、母樹の繁殖への投資が増える時期までにある程度の堅果が中絶されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)