2009 Fiscal Year Annual Research Report
間伐など針葉樹人工一斉林の伐採にともなう林床の微気象環境および植物群落の変動
Project/Area Number |
21580183
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
作田 耕太郎 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (10274523)
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Keywords | 針葉樹人工林 / 間伐 / 光環境 / 植物群落 / 埋土種子 |
Research Abstract |
群状伐採地における林分の微気象環境,植物群落の変動および植栽木の成長について明らかにする目的で,帯状伐採が行われた大分県民の森(大分県大分市)の54年生スギ林分および九州大学農学部附属立花口圃場(福岡県糟屋郡新宮町)の24年生ヒノキ林分に固定試験地を設定した.それぞれの試験地の林床においてデジタルカメラと魚眼レンズによる全天空写真の撮影を行い,相対光強度や年間受光量の推定を行った.また立花口圃場では,光環境と同時に温湿度,地温そして土壌含水率などの微気象環境の観測も実施した.その結果,相対光強度は伐採地中央部,林縁部そして残存部の順に低くなり,微気象環境は年間受光量に応じて変動したことが明らかとなった.大分県民の森では,北向き斜面と南向き斜面に試験地を設置したが,光環境は斜面方位によって大きな差があることも明らかとなった.以上より,伐採地の微気象環境は斜面方位と伐採地中央から残存林分への距離に応じて変化することから,群状伐採地の伐採面での更新にあたっては,伐採面積および伐採形状を考慮する必要性があると考えられた.実際,平成21年に伐採された大分県民の森の試験地に植栽されたヒノキ苗のサイズ構成について比較したところ,苗高には斜面方位の影響は認められなかったものの,地際直径に差が認められた.植物群落については,立花口圃場においてヒノキ天然下種更新に焦点を絞った調査を行った.本試験地は伐採後5年が経過しており,ヒノキ実生は14000本ha^<-1>確認された.実生は特に伐採面と残存林分の林冠ギャップ下に集中しており,ヒノキの種子散布様式から判断した場合,帯状伐採は林床植生の制御によって天然下種更新に有効となる可能性が示唆された.
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