2010 Fiscal Year Annual Research Report
間伐など針葉樹人工一斉林の伐採にともなう林床の微気象環境および植物群落の変動
Project/Area Number |
21580183
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
作田 耕太郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 助教 (10274523)
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Keywords | 針葉樹人工林 / 間伐 / 光環境 / 種多様度 / 森林管理 |
Research Abstract |
針葉樹一斉人工林における伐採法の相違にともなう,林床の微気象環境,特に光環境と植物群落の変動について明らかにする目的で,大分県民の森(大分県大分市)にて調査を行った.大分県民の森は,「大分県長期育成循環施業モデル団地」となっており,伐期に達したスギ・ヒノキ人工林に対して平成18年度から,さまざま伐採法での伐採が行われている.これらの林分の中から,単木状間伐,列状間伐そして皆伐の3種の伐採が行われた林分について,それぞれ伐採年度の異なる3つずつの林分を試験地とした.各試験地において,デジタルカメラと魚眼レンズによる全天空画像からの相対光強度,および波長別光強度測定装置による光質の2因子を測定した.同時に林床の木本植物の種数と個体数を記録した.その結果,相対光強度の低下にともなってR/FR比(近赤色光に対する赤色光の比)は低下し,両者は対数曲線で近似された.相対光強度とR/FR比は,皆伐を行った林分でもっとも高く,単木状間伐の林分でもっとも低かった.また,列状間伐地では伐採列と残存列との光環境と林床植生に差が認められた.伐採後の経過年数にともない,いずれの林分でも相対光強度とR/FR比の低下が認められたが,林床植生の変動は伐採法によって異なっていた.皆伐地では種数が増加し,個体数は減少したが種の多様度は上昇していた.一方で,単木状間伐地では種数も個体数も減少し,種の多様度は徐々に低下していた.列状間伐地では林床における木本植物の種数が最も多く,また種の多様度はもっとも高く,年数の経過による低下は認められなかった.以上の結果より,林床の光環境と植生の変動に対する効果には,伐採法による差があり,また効果の持続性にも差があると言える.したがって,生物多様性を考慮した森林管理を行う上では,間伐率とともに伐採法(間伐種)についても十分検討する必要がある.
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Research Products
(2 results)