2012 Fiscal Year Annual Research Report
マツ葉ふるい病菌の生葉及び落葉における生息密度―樹木病原菌の個体群解析
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21580185
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
畑 邦彦 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (00325771)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | Lophodermium pinastri / マツ葉ふるい病菌 / 内生菌 / 個体群密度 / クロマツ / 生葉 / 落葉 / 子嚢盤 |
Research Abstract |
本研究の前年度までの成果により、L. pinastriの個体群密度は針葉断片あたりの分離コロニー数を指標として把握することが可能であることが明らかとなり、また、空中胞子密度の変動の指標としては落葉上の子嚢盤の開口度が有効であることが示唆された。そこで、23年度からはこれらの知見に基いて本菌の個体群密度の時間的・空間的変動の追跡調査を行っている。 24年度は引き続き桜島のクロマツ生葉および枯死葉における本菌の分離コロニー数の季節変動と鹿児島県内5ヶ所のクロマツ海岸林のクロマツ生葉および枯死葉における本菌のコロニー数の変動を中心に調査を行った。その結果、夏期までの季節変動は前年と大差なく、また、夏期における地域変動も前年と同様その他の内生菌の強い影響が示唆された。しかし、秋期に至り、生葉において本菌のコロニー数の劇的な低下が生じた。しかもこの現象は桜島のみならず調査地域全てで見られた。こういった秋期における本菌のコロニー数や感染率の低下はこれまで見られたことはなかった。今回、鹿児島県下全域に渡って同様の変動が生じたことから、この低下は気象要因によるものであることが示唆される。24年度秋期において、特異的な気象条件としては平年より大幅に少ない降水量が挙げられた。従って、秋期の低降水量がこの劇的な低下の原因と考えられる。一方、枯死葉ではこのような低下は全く生じなかったが、これは生葉と枯死葉における本菌の生育状況の違い(コロニーサイズ等)と関係していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クローン数の時間的・空間的変動調査に取り掛かることが出来、順調にデータを積み重ねている。本年度はこれまでにない変動パターンが見られ、今まで隠れていた気象要因の影響が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今の所概ね順調に進行しており、今後も計画に沿って進める予定である。次年度は学会誌への投稿に向けてデータ解析と執筆も並行して行う。
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