2011 Fiscal Year Annual Research Report
実生採種園での循環選抜と改良効果の実証による広葉樹の新たな育種法の提案
Project/Area Number |
21580188
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
山田 浩雄 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター・北海道育種場, 課長 (90370832)
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Keywords | 実生採種園 / 循環選抜 / 改良効果 / クヌギ / SSR / 遺伝的多様性 / 交配組み合わせ |
Research Abstract |
本研究では、実験的に造成したクヌギ精英樹F1、F2実生採種園を用いて、DNAマーカーにより第1世代(精英樹)~第3世代(F2)までの母親と花粉親の寄与や遺伝的多様性の変化、近交係数の上昇等を明らかにしながら、循環選抜により短期間で世代回転させた場合の改良効果(遺伝獲得量)の推定と実証を行い、広葉樹一般に適用できる実生採種園方式による効率的な育種法を提案することを目的としている。 クヌギ精英樹(第1世代)、第1世代のオープン実生を用いて設定したF1実生採種園の家系内選抜実施後(第2世代)、第2世代のオープン実生を用いて設定したF2実生採種園の家系内選抜実施前(第3世代間伐前)と実施後(第3世代間伐後)のそれぞれについて、コナラ属で開発されたマイクロサテライト(SSR)7遺伝子座のヘテロ接合度の期待値(He)、アレリックリッチネス(Rs)、近交係数(Fis)の変化を調べた。その結果、Heは0.678→0.678→0.667→0.661、Rsは10-4→8.9→8.0→8.0、Fisは0.025→-0.044→0.059→0.065と推移した。遺伝的な多様性の指標となるヘテロ接合度の期待値とアレリックリッチネスは、世代回転と家系内選抜に伴い減少する傾向にあり、近交係数は上昇する傾向にあった。 F1、F2実生採種園での家系内選抜による樹高成長の改良効果は、第2世代で5.3%、第3世代で2.2%と推定され、第1世代と比較して第3世代では7%以上の改良効果が期待される。本研究では世代回転に伴う遺伝的な多様性の低下を最小限にするため、家系内選抜による改良を行ってきた。今後は、実生採種園構成個体の両親を明らかにして、交配組み合わせ能力の観点から改良効果と遺伝的多様性との関係を検討する必要がある。
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