2009 Fiscal Year Annual Research Report
倒木上に成立したヒノキ実生の養分獲得における菌根の寄与の解明
Project/Area Number |
21580198
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
溝口 岳男 Forestry and Forest Products Research Institute, 関西支所, グループ長 (60353869)
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Keywords | ヒノキ / 倒木更新 / 菌根 / 感染率 / 胞子密度 / 実生 |
Research Abstract |
(1)倒木・菌株上に発生したヒノキ実生の生存、成長に及ぼす菌根の影響を解明するため、長野県木曽町三岳、および滋賀県大津市比叡山の80~90年生の2か所のヒノキ林において、倒木および菌株上に発生した実生、およびそれに近接して地上に発生している実生の菌根ステータスを調査した。 (2)倒木、菌株上の実生細根の菌根化率は、両サイトとも根長あたり1~90%の範囲であり、平均70%前後であった。地上に発生した実生における菌根化率との間に有意な違いは見られなかった。しかし、倒木上実生の方が菌根化率のばらつきが大きい傾向が見られた。 (3)倒木上実生細根の菌根化率は、斜面位置や倒木の腐朽度、母樹の細根との接触の有無、コケによる被覆の有無、土壌やリターの被覆の有無等には左右されなかった。したがって、菌根菌のイノキュラムが地表のみならず、倒木や菌株にも広範に存在することが示唆された。 (4)ウエットシービング法によって採取した基質からの胞子の直接分離を試みた。地表に発生した実生の根圏土からは土壌10グラムあたり1~25個のアーバスキュラー菌根菌胞子が検出されたが、倒木・根株上の実生の根圏基質からはほとんど胞子が分離されなかった。 (5)アーバスキュラー菌根菌以外の共生菌の感染が、両サイトの倒木上実生に共通して見られたが、地表に発生した実生との間での有意な感染率の差は見られなかった。また、その感染にはアーバスキュラー菌根菌との拮抗的な関係は見られなかった。
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