2009 Fiscal Year Annual Research Report
弾性を有する木質炭化マットの成形と断熱材への適用に関する基礎研究
Project/Area Number |
21580199
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
関野 登 Iwate University, 農学部, 教授 (30171341)
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Keywords | 木質系断熱材 / 炭化マット / 熱伝導率 / 空隙構造 / 炭化温度 / マット密度 / 熱拡散率 / ホルムアルデヒド吸着 |
Research Abstract |
断熱材としての利用を前提とした木質炭化マットの最適な製造条件の確立に向け、成形性および熱伝導率に及ぼす製造条件の影響を調べた結果、以下の知見が得られた。 1.炭化に伴う密度残存率は、一般の木炭製造と比較すると2~3割小さかった。これは木質炭化マットの体積収縮率が小さいためであり、成形圧縮方向の収縮率が小さいことに起因した。 2.良好な成形性の炭化マットを得るには、400~500℃で炭化することが前提となり、なおかつマット密度が90kg/m^3以上となるように初期マット密度を設定する必要があった。圧縮弾性率を測定すると木質小片断熱材の3割程度の値であり、炭化マットは弾力性を有するものの断熱材として施工上の工夫の必要性が示唆された。 3.得られた熱伝導率は0.044~0.060W/mKの範囲にあった。熱伝導率が最小となる製造条件は、初期マット密度250kg/m^3、炭化温度400℃の組み合わせで、この条件は成形性も良好であった。また、初期マット密度を150~300kg/m^3で変化させても炭化温度400℃で熱伝導率が極小となる傾向が認められた。この要因として、低温で炭化したマットが高温で炭化したものに比べて小さい空隙を多く有することや吸湿性が低いことが推測された。 4.木質炭化マットの断熱性は木質小片断熱材と比較すると最大2割向上しており、熱伝導率による断熱材ランクにおいては、Bランク(グラスウール16K等)に相当した。また、熱拡散率を試算した結果、その値は32Kグラスウールの1/2~1/4程度と小さく、蓄熱性に優れると考えられた。 5.シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドについて木質炭化マットの吸着能を調べた結果、密閉空間のホルムアルデヒド濃度はブランク状態に比べて約5分の1に低減し、木質小片断熱材よりも吸着能は高かった。
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