2011 Fiscal Year Annual Research Report
弾性を有する木質炭化マットの成形と断熱材への適用に関する基礎研究
Project/Area Number |
21580199
|
Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
関野 登 岩手大学, 農学部, 教授 (30171341)
|
Keywords | 木質小片断熱材 / 炭化マット / 熱伝導率 / 成形性 / 実大厚さ / 対流経路 / 熱抵抗 |
Research Abstract |
木質小片断熱材の中身を炭化することで、生物劣化のリスク回避、断熱性の向上、室内空気汚染物質の吸着能力の向上などが期待できる。本研究の目的は、これらの性能を調べて従来の木質小片断熱材と比較して、断熱材への適用に必要な基礎知見(形状安定性、断熱性、吸着性など)を得ることである。初年度(H21)の研究成果より、炭化温度400~500℃かつ炭化後のマット密度が90kg/m^3以上という条件が、断熱性と成形性の観点から最適製造条件であることが明らかとなった。ただし、この条件は断熱材厚さ5cmという小型サンプル(20cm×20cm×5cm)に対して得られたものであり、厚さ10cm程度の現実的なサイズでの成形性や断熱性能に関しては、未知な点も多い。そこで、最終年度は実大厚さでの試験体(36cm×20cm×厚さ10cm)を初期密度250kg/m^3、炭化温度400℃で製造し、成形性や断熱性に関して以下の基礎知見を得た。 1)実大厚さ試験体の炭化に要する時間は小型試験体の2~2.5倍となった。また、実大厚さ試験体のマット内最高到達温度は484~544℃と高くなったが、得られたマットの形状的特徴は小型試験と同様で成形性も良好であった。 2)実大厚さ試験体の熱伝導率(平均材温30℃)は0.035W/mKであった。同程度の密度の木質小片断熱材と比べて熱伝導率は約3割低かった。また、同一の初期密度および炭化温度条件で製造した小型試験体に比べて、熱伝導率は約2割低かった。この要因として、マットの厚さの増加による対流経路の分断の影響が示唆された。 3)実大厚さ試験体の熱抵抗値は2.9m2K/Wであり、日本住宅性能表示基準における等級2のI~III地域および等級3の一部の地域で求められる断熱性能を満たしていた。
|