2011 Fiscal Year Annual Research Report
木材の細胞構造を微小反応装置として機能させる、カーボン材料創製と機能化
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21580202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 幸恵 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30301120)
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Keywords | 化学加工 / カーボン材料 |
Research Abstract |
前年度には、円錐黒鉛ウイスカを担持させた木炭ブロックをそのまま電極として、電気酸化により、内部の円錐黒鉛ウイスカをインターカレーションさせることに成功した。本年度は、これを処理し機能化を図った。 円錐黒鉛ウイスカのようなヘリンボン型炭素構造の場合、活性の高い炭素六角網平面エッジ部が表面に存在するが、それらが互いに結合して不活性化している。そこで先ず、エッジ部を露出させる活性化が必要であると当初考えていたが、硫酸中でのインターカレーションによって既に達成されていた可能性があることが判った。これはインターカレーション処理を行った試料が、加熱等により膨張化した事実による。インターカレーション反応の成否は顕微ラマン分光法と透過電子顕微鏡観察とにより確認した。インターカレーションにより層間が押し広げられるように膨張して円錐黒鉛ウイスカは軸方向に伸長するが、ふたたび閉じて逆的にバネのような挙動を示すことが明らかとなった。この現象は電池化や膨張黒鉛化などへ応用が可能で、電池、断熱材、緩衝材などの工業原料・資材など幅広い応用可能性があるほか、インテリジェント材料として未知の利用可能性もある。さらに、従来、理論から明らかとされていたスパイラル状の炭素六角網構造が、この現象の観察から実験的に示されたことにもなり、学術的意義も大きいと考えられる。ただし可逆的な伸縮の原理について未解明な点が多く、応用可能性を広げるためにもさらに明らかにしていく必要があると思われる。
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