2010 Fiscal Year Annual Research Report
冬芽の萌芽時期が管孔の配列パターンに及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
21580211
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
織部 雄一朗 独立行政法人森林総合研究所, 林木育種センター東北育種場, 室長 (40370853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
雉子谷 佳男 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10295199)
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Keywords | 森林工学 / 材形成 / 管孔 / オーキシン |
Research Abstract |
落葉性散孔材樹種について、冬芽の萌芽と道管形成の再開が起こる順序を逆転させたときに形成される管孔の配列パターンを観察した。形成層の休眠期から冬芽の萌芽にかけて形成層帯付近の内生オーキシンレベルの測定に着手した。 ブナとトチノキの若齢木を3個体ずつ供試した。形成層が休眠状態にあった3月上旬から開葉時期にかけて、樹幹の地際近くに電熱ヒーターを巻き付け、樹幹の表面温度を局部的に20℃に調節した。加温処理を始めてから1および4週目と加温処理の停止時には、加温部の形成層の活動状況を調べるために針刺法を実施した。加温処理を施した年の樹幹の肥大成長が停止した後に、加温部から円盤を採取した。円盤から切り出した切片を光学顕微鏡下で観察し、加温期間中の形成層活動と形成層派生物の木部への分化の状況を調べた。 ブナとトチノキともにすべての個体の加温部では、開葉時期までに新たな木部が形成されていた。加温処理を施した年に形成されたブナの年輪内には、加温期間に形成された木部が偽年輪を形成していた。トチノキの加温部には偽年輪は認められなかった。ブナの偽年輪中の軸方向柔細胞の出現頻度は、同じ年輪の終わりに形成された木部と同程度であり、開葉直後に形成された木部に比べると高かった(p<0.05)。したがって、ブナでは、冬芽の萌芽時期の前後で形成される木部の組織構造に違いがあった。
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