2010 Fiscal Year Annual Research Report
モデル水産植物スサビノリにおける補色適応の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
21580213
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
嵯峨 直恆 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (10231333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 浩司 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (40222319)
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Keywords | 補色適応 / 光色 / フィコビリンタンパク質 / 紅藻 / スサビノリ |
Research Abstract |
本研究は、海産紅藻スサビノリの光合成色素タンパク質複合体フィコビリソームにおける赤色光、緑色光および青色光に対する応答機構を研究するものである。これまで一部のラン藻において、異なる光色下での培養でフィコビリソームの構成が可逆的に変化することが明らかになっており、その変化は補色適応と呼ばれている。しかしながら、ラン藻と同じくフィコビリソームをもつ紅藻類においては補色適応の有無が明らかとなっていなかった。しかし、前年度においてスサビノリにおける補色適応の存在が示唆された。 スサビノリの補色適応に関わるフィコビリンタンパク質(フィコエリスリン、フィコシアニン)をコードする遺伝子は、例えば、フィコエリスリンのα、βサブユニットは葉緑体ゲノムに、γサブユニットは核ゲノムにコードされているため、これらの発現には葉緑体と核の協調的な遺伝子発現が必要と考えられる。本年度は、その協調性に関する予備的な実験として、スサビノリ葉状体を暗条件から白色光に移して一定期間培養した後、藻体から全RNAを抽出し、RT-PCR法によりフィコビリンタンパク質遺伝子群の発現量の変動を経時的に解析した。 その結果、フィコビリンタンパク質遺伝子群の発現量は、暗条件で培養した藻体では低かったが、白色光で培養したものでは経時的に増加することが確かめられ、スサビノリにおけるフィコビリンタンパク質群の遺伝子が全て光依存的に発現すると考えられた。なお、これまでにRT-PCR法による解析では、葉緑体にコードされている遺伝子の発現が確認できない問題点があったが、今年度その解消ができたため、次年度における解析を滞りなく進めることができると考えている。
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