2011 Fiscal Year Annual Research Report
モデル水産植物スサビノリにおける補色適応の分子機構に関する研究
Project/Area Number |
21580213
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
嵯峨 直恆 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (10231333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 浩司 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 准教授 (40222319)
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Keywords | 補色適応 / 光色 / フィコビリンタンパク質 / 紅藻 / スサビノリ |
Research Abstract |
本研究は、海産紅藻スサビノリの光合成色素タンパク質複合体フィコビリソームにおける赤色光、緑色光および青色光に対する応答機構を研究するものである。これまで一部のラン藻において、異なる光色下での培養でフィコビリソームの構成が可逆的に変化することが明らかになっており、その変化は補色適応と呼ばれている。しかしながら、ラン藻と同じくフィコビリソームをもつ紅藻類においては補色適応の有無が明らかとなっていなかった。しかし、本研究においてスサビノリにおける補色適応の存在が示唆された。 スサビノリの補色適応に関わるフィコビリンタンパク質(フィコエリスリン、フィコシアニン)をコードする遺伝子は、例えば、フィコエリスリンのα、βサブユニットは葉緑体ゲノムに、γサブユニットは核ゲノムにコードされているため、これらの発現には葉緑体と核の協調的な遺伝子発現が必要と考えられる。本年度は、光色の違いによるフィコビリンタンパク質遺伝子群の発現量の差をみるために、スサビノリ葉状体を暗条件から赤色光または青色光に移して一定期間培養した後、藻体から全RNAを抽出し、RT-PCR法により解析した。 その結果、赤色および青色の単色光下においても白色光と同様に光照射の時間とともに発現量が増加する傾向が見られたが、赤色光または青色光で培養した藻体では、発現量が増加する時間帯に違いが見られた。具体的には、PEγAおよびPEにおいては青色光にて培養した藻体の方が赤色光で培養したものよりも、光照射開始から早い時間帯で発現量が増加しており、PCにおいては赤色光にて培養した藻体の方が発現量の増加が早い時間帯で確認された。これらのことより、スサビノリにおけるフィコビリンタンパク質群の遺伝子が全て光依存的に発現すると考えられ、また、光色依存的な発現量の制御がなされていると考えられる。
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