2009 Fiscal Year Annual Research Report
サケ科魚類の成長を司るインスリン様成長因子結合蛋白の測定系の確立
Project/Area Number |
21580214
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 宗敬 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 講師 (90431337)
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Keywords | 成長 / ホルモン / サケ科魚類 / 発現量測定 |
Research Abstract |
本研究は、魚類の成長に重要なインスリン様成長因子-I(IGF-I)とその生物活性を「促進」または「阻害」すると考えられる2つのIGF結合蛋白(IGFBP)の測定系を確立し、魚類の成長を正確に評価することを目指している。本年度は、IGF-IおよびIGF-I活性の「阻害型」と考えられるIGFBP-1のリアルタイム定量PCR法による遺伝子測定系を確立した。 まず、大西洋サケで報告されているIGF-IとIGFBP-1のプライマーが、サクラマスに用いることができるか否かを検討した。サクラマス肝臓より調製したcDNAを上のプライマーを用いたリアルタイム定量PCRに供した。融解曲線から、単一の産物が増幅されていることが確認された。さらにプライマーの濃度を検討したところ、良好な増幅効率とスタンダードの相関係数が得られた。これらの結果から、大西洋サケのプライマーを用いてサクラマスのIGF-IとIGFBP-1のmRNA量の相対値が測定できることが確認された。 次にサクラマス1歳魚を用いて絶食実験を行った。実験には5週間給餌した群、同期間絶食した群、および4週間絶食した後に1週間再給餌した群の3つを設けた。肝臓IGF-Iの発現量は5週間の絶食により有意に低い値となった。また、再給餌により回復傾向が見られた。IGFBP-1は絶食により増加し、再給餌により減少する傾向を示してIGF-Iと逆であった。また、成長の指標として広く用いられているRNA/DNA比も解析したところ、IGF-Iとは異なり、絶食よりも再給餌に良く反応した。このことは、指標によって感度が異なる可能性を示しており、魚類の成長を正確に評価する上で重要であると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Postprandial changes in plasma growth hormone, insulin, insulin-like growth factor(IGF)-I and IGF-binding proteins in coho salmon fasted for varying period2009
Author(s)
Shimizu, M., Cooper, K.A., Dickhoff, W.W., Beckman, B.R.
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Journal Title
American Journal of Physiology-Regulatory, Integrative, and Comparative Physiology 297
Pages: R352-R361
Peer Reviewed
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