2011 Fiscal Year Annual Research Report
サケ科魚類の成長を司るインスリン様成長因子結合蛋白の測定系の確立
Project/Area Number |
21580214
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
清水 宗敬 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 講師 (90431337)
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Keywords | 成長 / ホルモン / サケ科魚類 / 免疫測定系 |
Research Abstract |
本研究は、魚類の成長に重要なインスリン様成長因子-I(IGF-I)およびその生物活性を「促進」または「阻害」すると考えられるIGF結合蛋白(IGFBP)の測定系を確立し、魚類の成長を正確に評価することを目指している。本年度は、IGFBPおよびIGF-Iの蛋白測定系の確立を行い、成長との関係を解析した。 まず、「阻害型」と考えられるIGFBP-1b(BP-1b)の時間分解蛍光免疫測定系(TR-FIA)の確立を試みた。すなわち、ヤギ抗ウサギIgGをコーティングした96穴プレートに抗BP-1b抗血清を添加した。続いてビオチン標識したBP-1bを精製品スタンダードと共に加えた。さらにユーロピウム(Eu)標識したアビジンを添加し、洗浄後、時間分解蛍光を測定した。結果、良好なスタンダードカーブを得ることができ、TR-FIAによる魚類BP-1bの定量が初めて可能となった。また、IGF-IのTR-FIAはEu標識したIGF-Iを用いることにより、サクラマス血清中のIGF-Iの測定が可能になった。「促進型」と考えられるBP-2bに関してはIGFによる干渉が考えられるため、BP-2bとIGF-Iの複合体に対して架橋とビオチン標識を同時に行い、現在その特性を解析中である。 サクラマスを用い、絶食・再給餌実験を行った。まずサクラマス当歳魚をPITタグにて個体標識し、給餌群、絶食群および再給餌群の3群に分けて飼育した。経時的に血液を採取し、先に確立したIGFBPとIGF-IのTR-FIAにより解析した。血中IGF-I量は絶食により減少し、再給餌により回復した。一方、BP-1bは絶食により増加し、再給餌により減少するというIGF-Iとは逆の反応を見せた。さらに個体の成長率とも負の相関を見せたことから、サクラマスにおいてもBP-1bはIGF-I活性の「阻害型」であることが考えられた。
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[Journal Article] Effects of short-term starvation on ghrelin, GH-IGF system, and IGF-binding proteins in Atlantic salmon2011
Author(s)
Hevroy, E. M., Azpeleta, C., Shimizu, M., Lanzen, A., Kaiya, H., Espe, M, and Olsvik, P. A.
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Journal Title
Fish Physiology and Biochemistry
Volume: 37
Pages: 217-232
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Circulating salmon 28- and 22-kDa insulin-like growth factor binding proteins (IGFBPs) are co-orthologs of IGFBP-12011
Author(s)
Shimizu, M., Kishimoto, K., Yamaguchi, T., Nakano, Y., Hara, A., Dickhoff, W.W.
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Journal Title
General and Comparative Endocrinology
Volume: 174
Pages: 97-106
DOI
Peer Reviewed
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