2010 Fiscal Year Annual Research Report
穿孔性多毛類より解析する世界的な人為的生物移動の実態とその影響
Project/Area Number |
21580216
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大越 和加 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (20233083)
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Keywords | 穿孔性多毛類 / スピオ科 / Polydora属 / 貝類 / 移入種 / 増養殖 |
Research Abstract |
本研究は、貝類増養殖事業を行っている海域を中心に、貝類の貝殻に穿孔する多毛類の種、生活史、生態に関する解析を行い、多毛類がどのように移動・変化しているかをグローバルに捉え、人為的移動について包括的に探ることを目的とした。 今年度は、国内(宮城、北茨城、千葉、東京等)と海外(南アフリカ、オーストラリア、韓国等)の貝類(天然と増養殖)の貝殻を以下の要領で調べ、穿孔性多毛類の有無、侵蝕状況、穿孔種の同定、過去に報告されている種との比較等を行った。 (1)貝類の貝殻をペンチ等で破砕し、穿孔している多毛類Polydoridsを摘出し、生体で観察後、10%中性ホルマリンで固定し実体顕微鏡、生物顕微鏡下で種を同定した。 (2)体サイズ計測、生殖簿細胞の有無やサイズ計測、卵嚢の有無やサイズ計測、卵嚢の飼育と卵嚢内の発生の観察、幼若個体の観察を行い、多毛類の種の貝殻への定着期、産卵期、消滅期、発生様式、成長、寿命などの生活史、及び個体群動態を追跡した。 その結果、今まで国内では生息が確認されていなかった種が発見され、新記録種として認識された。それらの種の生物・生態学的知見も得た。 また、7月には、イタリア(レッチェ)で開催された第10回国際多毛類学会に参加し、結果の一部を発表・議論した。また、多数の多毛類研究者と情報交換を通し、本研究にフィードバックさせることができた。
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