2012 Fiscal Year Annual Research Report
穿孔性多毛類より解析する世界的な人為的生物移動の実態とその影響
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21580216
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大越 和加 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20233083)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 穿孔性多毛類 / 増養殖事業 / 人為的移動 / スピオ科 / ポリドラ / 外来種 |
Research Abstract |
本研究は、貝類増養殖事業を行っている海域を中心に、有用貝類の貝殻に穿孔する多毛類の種、生活史、生態に関する知見を得、人為的な増養殖を通して多毛類がどのように世界を移動しているかを捉え、人為的移動についてグローバルな視点で包括的に探ることを目的としている。 今年度は、国内(宮城、東京湾、大島等)と海外(中国、北アメリカ、タイ等)の貝類(天然と増養殖)の貝殻を以下の要領で調べ、穿孔性多毛類の有無、侵蝕状況、穿孔種の同定、過去に報告されている種との比較等を行った。 (1) 貝類の貝殻をペンチ等で破砕し、穿孔している多毛類 Polydorids を摘出し、生体で観察後、10%中性ホルマリンで固定し実体顕微鏡、生物顕微鏡下で種を同定した。 (2) 体サイズ計測、生殖簿細胞の有無やサイズ計測、卵嚢の有無やサイズ計測、卵嚢の飼育と卵嚢内の発生の観察、幼若個体の観察を行い、多毛類の種の貝殻への定着期、産卵期、消滅期、発生様式、成長、寿命などの生活史、及び個体群動態を追跡した。 その結果、中国では初めて穿孔性の種が判明し、国内では今まで種が確定できなかった複数の種が判別された。その結果、それらの種の分布、生物・生態学的知見を得ることができた。また、12月には、タイ(プーケット)で開催された第1回アジアマリンバイオロジー学会に参加し、アジアにおける人為的養殖事業が生態系へ及ぼす影響の可能性について発表・議論した。現地では調査も行い、多毛類を採集し、現在解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内、国外共に調査は順調に行われており、多毛類の採集は進んでいる。すべての解析には時間がかかるが、サンプルはあるので、今後、解析を進める予定である。来年度が最後の年となるので、引き続き採集を続けながら、一方ではまとめに入る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き増養殖地での採集を行う一方で、種の同定、生物学的・生態学的解析を進め、まとめに入る予定である。穿孔性多毛類を例とし、未知の生物が、人為的な増養殖貝類と共に世界中を移動し、移動先での増養殖や生態系等に影響を与える可能性について考察する。生物多様性を減ずるひとつの重要な要因になり得るのか、具体的な結果を示し、追跡やモニタリングの必要性を提示したい。 成果の一部は、国際多毛類学会大会において、発表を行う予定である(アブストラクト受理)。
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[Journal Article] Morphology, 18S rRNA gene sequence, and life history of a new Polydora species (Polychaeta, Spionidae) from northeastern Japan2013
Author(s)
Teramoto, W., Sato-Okoshi, W., Abe, H., Nishitani, G., Endo, Y
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Journal Title
Aquatic Biology
Volume: 18
Pages: 31-45
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Polydorid species (Polychaeta, Spionidae) associated with commercially important mollusc shells in Korean waters2012
Author(s)
Sato-Okoshi, W., Okoshi, K., Koh, B.-S., Kim, Y.-H., Hong, J.-S
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Journal Title
Aquaculture
Volume: 350-353
Pages: 82-90
DOI
Peer Reviewed
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