2009 Fiscal Year Annual Research Report
濾過食二枚貝のホタテガイ・マガキによる付着珪藻の利用メカニズムの解明
Project/Area Number |
21580217
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 絹子 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 助教 (90191931)
|
Keywords | 濾過食者 / 二枚貝 / 付着珪藻 / 生理生態 / ホタテガイ / 生産力 |
Research Abstract |
ホタテガイやマガキなどの濾過食者が、植物プランクトンだけでなく、付着珪藻を摂食できるメカニズムの解明をするために、フィールド実験と飼育実験を行った。 女川湾においてホタテガイ垂下養殖を行い、摂食している食物、周囲の微細藻類の量、種類組成を通年調べた。その結果、浮遊性の微細藻類と付着珪藻の食物としての比率は、ほぼ1:1であった。 春季大増殖期と秋季大増殖期においては、浮遊性微細藻類が優先したが、ほかの季節は付着珪藻が多く取り込まれていた。付着珪藻は通年、コンスタントに取り込まれていることが分かった。また、付着珪藻の種類組成は多様であることも明らかになった。ホタテガイの食物組成については、水深による違いも小さく、ホタテガイの成長も水深による違いは見られなかった。 海水中にはこの付着珪藻は存在せず、ホタテガイの殻表面に増殖しているものであった。 微細藻類を除去した海水を用いて、耳吊りホタテガイに振動を与え、その頻度を変えた飼育実験を行い付着珪藻の取り込み量の違いについて調べた。その結果、物理的な振動を与えた場合と、与えない場合とでは、大きな違いはなく、どちらの場合にも付着珪藻を摂取していた。 殻の表面に成育した付着珪藻は、水中に懸濁することなく、ホタテガイに取り込まれていることが分かった。すなわち、付着珪藻のうち、滑走運動性のある種類が、ホタテガイの繊毛運動によりつくられた水流によって、滑り込むように外套腔内に入るものであろうと予測され、取り込みメカニズムの概要を捉える事ができた。
|
Research Products
(5 results)