2011 Fiscal Year Annual Research Report
漁船燃料消費量の割当に基づく新たな漁業資源管理制度
Project/Area Number |
21580218
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山川 卓 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (10345184)
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Keywords | 漁船 / 燃料 / 資源管理 / 漁業管理 / 個別割当 / ゲーム理論 / 省エネルギー / 燃油コスト |
Research Abstract |
漁船燃料の使用可能量の個別割り当てによって,漁業全体の漁獲圧を調節して資源を管理するという,新たな発想にもとづく漁業資源管理法を提示し,その得失を精査することを目的として,以下の研究を行った。漁船燃料消費量に着目した漁業資源管理手法の一例として,譲渡可能個別燃料割当制(ITOQ ; Individual Transferable Oil Quota)を想定した。 1.漁船の燃料消費に関する実態調査 主な漁業種類別に,漁船の燃料消費に関する実態を整理した。漁船漁業経営に関する既往の各種統計・調査資料の整理等を通じて,各種指標項目と燃料消費量の関係を漁業種類別に明らかにし,漁業経営全体に占める燃料費の位置づけを把握した。 2.燃料消費量に着目した最適漁業戦略の検討 出漁から漁場への移動,魚群探索,漁獲,帰港の一連の過程を模した漁業の出漁-経営モデルを作成し,燃料消費量および経営収支に関する動態特性を精査するとともに,最適漁業戦略に関する検討を行った。 3.制度導入の影響に関する,モデルによる予測・評価 漁業者を互いに独立した行動主体とみなしたゲーム理論モデルによるシミュレーション等によって,制度導入の結果,どのような変化が当該漁業に生じうるか,その影響の予測・評価を試みた。制度導入により,漁業活動の効率化,省エネルギー化が進展し,経営収支の改善につながることが明らかとなった。個別資源の漁獲可能量を割り当てて管理する譲渡可能個別漁獲割当制(ITQ ; Individual Transferable Quota)と比べて,資源変動等の不確実性の影響を受けにくいことが明らかとなった。
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