2010 Fiscal Year Annual Research Report
アオメエソ属魚類をモデル分類群とした、小型底魚類の生活史に関する研究
Project/Area Number |
21580219
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
猿渡 敏郎 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (00215899)
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Keywords | アオメエソ / 底魚 / 生活史 / 回遊 / メヒカリ |
Research Abstract |
地域的な未利用資源として近年小型底魚類が注目されている。特にアオメエソ属魚類(Chlorophthalmus spp.)は、メヒカリの名称で福島、静岡、三重、宮崎の各県で漁獲され、注目されている魚種であり、その生態の解明に対する社会的要求は高い。本年度は、駿河湾内におけるメヒカリの生態解明に主眼を置き、定期的に戸田を基地としている底引き網漁船に乗船し、採集調査を実施した。駿河湾内のメヒカリ類と同所的に分布する底魚類の採集、分布水深、現場水温などのデータを収集した。アオメエソ(C.albatrossis)は駿河湾ほぼ全域の、大陸棚縁辺部から斜面にかけた、水深100-450m帯に生息していることが判明した。月別の体長組成の変化をみると、アオメエソは駿河湾内での底引き網漁が禁漁となる5月中旬から9月中旬の期間に大型個体が漁場から消え、小型個体が加入することが判明した。小型個体は、湾外から輸送されてきて着底した新規加入群であると推察された。今後耳石の日輪解析等で、着底機構を精査していく予定である。 岩手県立博物館、ふくしま海洋科学館と共同で、メヒカリ類の肛門周辺に存在する発光器の発光に関する研究を新たに開始した。22年度中には、ふくしま海洋科学館で、飼育下での発光観察実験を二度行い、マルアオメエソ(C.borealis)が発光魚であることを確認した。そして、世界で初めて、マルアオメエソの発光を映像記録として残すことに成功した。その成果を2010年度日本魚類学会年会にて発表した。現在論文の準備中である。
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Research Products
(15 results)