Research Abstract |
ウシエビには,本種特有の病原ウイルスがある。日本では特定疾病とされているイエローヘッド病原因ウイルス(YHV)と伝染性皮下造血器壊死症原因ウイルス(IHHNV)が報告されている。日向灘では,ウシエビとクルマエビの生息海域が重複していることから,クルマエビもこのようなウイルスを保有する可能性が考えられる。とくに,YHVはクルマエビに強い病原性を示し,死亡率は90%以上とPRDVと匹敵する被害が予想される。さらに,IHHNVについては,ウシエビの成長阻害要因となっている事も明らかにされている。このように,ウシエビの生息範囲の北上によって,健全なクルマエビ集団が,新興感染症に罹患する危機的状況にある。 そこで,本研究ではこれら新興病原ウイルスの定量・高感度検出法の確立ならびに養殖クルマエビへの伝播の防止のためのRNAiを用いた先端的防除対策を確立する。 1)平成21年度に確立したLoopampリアルタイム測定法を用いて,ウシエビの各種ウイルスについて検出を試みた結果,ウイルスは検出されなかった。 2)日向灘ウシエビ(成エビ)をサンプリングし,ストレス試験を行って,ウイルス検査を行った結果,ウイルスは検出されなかった。 3)定量LAMP法を用いて,天然クルマエビにおける各ウイルスの臓器内分布の差異を調べた結果,血液と心臓が最も検出部位としては優れていることが明らかとなった。 5)各海域のウシエビにおけるウイルスの保有量の差異を調べるために,サンプリングしたウシエビから上記4)で決定された標的器官を採材し,必要に応じて-80℃のディープフリーザーで保存して,平成23年度の試料に供する。
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