2011 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化によって北上する熱帯産ウシエビがもたらす疾病の診断と予防
Project/Area Number |
21580230
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊丹 利明 宮崎大学, 農学部, 教授 (00363573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 照豊 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20240294)
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Keywords | ウシエビ / 特定疾病 / ウイルス / クルマエビ / LAMP法 / 定量LAMP法 |
Research Abstract |
ウシエビには,本種特有の病原ウイルスであるイエローヘッド病原因ウイルス(YHV)と伝染性皮下造血器壊死症原因ウイルス(IHHNV)が報告されている。これらは、日本では特定疾病とされ、今後の越境感染の可能性が高く、その防除が必要となっている。日向灘では,ウシエビとクルマエビの生息海域が重複していることから,クルマエビもこのようなウイルスを保有する可能性が考えられる。とくに,YHVはクルマエビに強い病原性を示し,死亡率は90%以上とPRDVと匹敵する被害が予想される。さらに,IHHNVについては,ウシエビの成長阻害要因となっている事も明らかにされている。このように,ウシエビの生息範囲の北上によって,健全なクルマエビ集団が,新興感染症に罹患する危機的状況にある。 そこで,本研究ではこれら新興病原ウイルスの定量・高感度検出法の確立ならびに養殖クルマエビへの伝播の防止のためのRNAiを用いた先端的防除対策を確立する。 1)平成23年度も引き続き定量LAMP法により健常ウシエビおよびストレス負荷ウシエビに対して、各種ウイルスについて検出を試みた結果,ウイルスは検出されなかった。 2)検出部位は血液と心臓が適当であることが確認された。 3)いずれの海域においてもウシエビはウイルスを保有していなかった。志布志湾では、十分量のウシエビが採捕されなかったので、延岡の五ヶ瀬川河口でも採捕して、ウイルスフリーを確認した。 4)Caspase遺伝子をノックダウンした場合、エビはウイルス感染に対して抵抗性を示した。しかし、STAT遺伝子やAugonaute遺伝子をノックダウンした場合は、ウイルス感染に抵抗性を示すことはなく、感染が亢進した。このことから、ウイルスはこれらの遺伝子の発現を抑制することで感染を増大させるような感染戦略を用いているものと考えられる。したがって、この遺伝子の発現強化を行うことでユニバーサルワクチンの開発が可能となる。
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Research Products
(10 results)