2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機汚濁水域における硫化水素の生成と消滅に関わる分子微生物生態学的研究
Project/Area Number |
21580232
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
近藤 竜二 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (30244528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 伸一 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (50270723)
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Keywords | 光合成硫黄細菌 / 亜硫酸還元酵素 / 有機汚濁 / 定量PCR / 密度成層湖 / 海底泥 |
Research Abstract |
本研究では有機汚濁水域に蓄積している硫化水素を酸化する光合成硫黄細菌の生態を調べるための手法を開発し、硫酸還元菌による硫化水素生成と硫黄細菌による硫化水素の消滅過程を微生物学的に解明することを目的とした。底層に硫化水素が多量に蓄積している水月湖の水柱と、東京湾の底泥から直接DNAを抽出し、PCRの鋳型とした。光合成硫黄細菌の亜硫酸還元酵素遺伝子を標的としたプライマーを用いてPCRを行い、クローン解析を行った。その結果、水月湖の酸化還元境界層以深では全クローンの約85%が緑色硫黄細菌で、残りの約15%は紅色硫黄細菌に近縁であった。LIBSHUFFを用いた統計解析では有意差は認められなかったが、これらの組成比は水深や季節によって異なっていた。一方、東京湾の底泥はγ-プロテオバクテリアに属するクローンが最も多く検出された。この他α-やβ-プロテオバクテリアに近縁なクローンが東京湾最奥部の表層で検出され、緑色硫黄細菌に近縁なクローンは全く検出されなかった。このように、水域によって優占する硫黄細菌の種が異なることが示された。水月湖については、SYBR Green Iアッセイを用いたリアルタイムPCR法によって遺伝子を定量したところ、検出限界(10^2コピー/mL程度)以下から3.1×10^6コピー/mLであった。このコピー数から算出した光合成硫黄細菌数は最大で、全菌数の約40%に達する場合もあった。以上のように、光合成硫黄細菌は硫化水素の存在する環境に存在し、硫化水素の酸化に寄与していると考えられる。その数や種組成は水域や季節などによって異なっていることが明らかとなった。
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Research Products
(11 results)