2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580234
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
秋山 信彦 東海大学, 海洋学部, 教授 (20256192)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 弥亜 東海大学, 海洋学部, 教授 (70167568)
|
Keywords | アオリイカ / 初期餌料 / 摂餌生態 / 人工飼料 |
Research Abstract |
本研究の目的としては,アオリイカが塩類を含んだ人工飼料を忌避する行動が見られたことから,そのメカニズムを明らかにすることに主眼を置いた.本年度は,海水に人工飼料を浸漬し,人工飼料に塩類が浸透するのか,さらにその塩類がどの程度でアオリイカが忌避するのか,アオリイカの触腕に塩類を感じる感覚器を持っているのかについて検討した. その結果,トランスグルタミナーゼですり身を固めた人工飼料を15分間蒸留水に浸漬させた場合,捕捉された22個全てが完全に捕食された.反対に海水に15分間浸漬させた場合では18個捕捉されたが,11個は触腕でとらえた時に忌避され,3個は口球まで運んだ後に忌避された.忌避された海水に浸漬した飼料を蒸留水で3回洗浄し,さらに蒸留水中で飼料をホモジナイズした溶液を塩分計で塩分を測定したところS=0.06~0.07PSUであったが,蒸留水に浸漬させた飼料の場合には検出されなかった.また,蒸留水に15分間浸漬させた人工飼料の弾性値は1.27Nと浸漬させる前の弾性値1.61Nよりも低くなり,柔らかくなったが,海水に15分間浸漬させた人工飼料の弾性値は1.58Nと変化はなかった. 次に,蝕腕でとらえた時に忌避する場合と口球まで飼料を運んだ後に忌避することが観察されたので,これらの部分について組織学的に観察した.その結果,吸盤の周縁部と最突部には,マダコの吸盤で確認されている化学刺激に対応する受容細胞とほぼ同様の形態の細胞が見られた. 以上の諸結果から海水中に人工飼料を浸漬することによって塩分が飼料に浸透し,アオリイカはその塩類を蝕腕の吸盤にある化学刺激に対応する受容細胞で感知して忌避すると考えられた.
|