2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580237
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
安藤 正史 近畿大学, 農学部, 教授 (80247965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝井 健二 近畿大学, 水産研究所, 教授 (60197225)
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Keywords | 養殖魚 / 運動飼育 / 水銀 |
Research Abstract |
【目的】本研究では,養殖魚に強制的な運動飼育を施すことにより新陳代謝を活発化させ,魚体内の水銀をより早く排出させ,養殖魚の水銀濃度を低下させることを目的とした。 将来的には水銀量の多いマグロ類に応用することを目標とするが,その前段階として小型の魚類を材料として用いる。平成21年度はマダイを用いたが,有意な結果は得られなかった。その要因として,マダイは回遊魚ではないため,強制的に運動させることがストレスとなり,新陳代謝に悪影響を及ぼしたことが考えられる。そこで本年度は魚種を回遊魚であるシマアジに変更し,さらに連続遊泳もストレスとなる可能性があるため,夜間は水流を止める間欠運動区を設定した。 【方法】2つの飼育タンク(直径2.3m,止水区・間欠運動区)において,海水の循環速度を7t/hourとし,海水の吹き出し口の方向を変えることにより間欠運動区では中央部での流速を14cm/secとした。一方,止水区の水槽の流速はほぼ0cm/secとした。この環境下で4ヶ月間の飼育を行った。総水銀濃度は加熱気化水銀測定装置で,またメチル水銀はECD装着ガスクロマトグラフにて測定した。 【結果と考察】体重は間欠運動区においてわずかに大きくなり,運動による摂餌行動の活発化が認められた。筋肉・肝臓ともに総水銀濃度およびメチル水銀濃度は間欠運動区においてわずかに高くなった。これは摂餌量が多くなったことによる水銀摂取量の増大が原因と思われるが,同時にそれを上回る新陳代謝の活発化による水銀排出の促進にはつながらないことが明らかとなった。
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