2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21580244
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Research Institution | National Fisheries University |
Principal Investigator |
川崎 潤二 独立行政法人水産大学校, 准教授 (20416465)
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Keywords | 省力型漁船 / 作業研究 / 安全性 / 船体動揺 / 時間研究 / 動作分析 |
Research Abstract |
昨年度まで実施した省力型沿岸漁船の乗船調査、及び同調査を対象とした動作時間分析に関する結果を基に、漁港と漁場間の航海、漁場での漁労作業従事等の、漁業を行う上で必要な漁船の性能について分析考察を行った。その中で、漁船の性能を「漁船船体」,「推進力」,「漁獲方法」,「漁獲物取扱い」,「漁獲物積載」,「労働条件」,「メンテナンス」の6項目に分類し、各項目の具体的な内容について明らかにした。また、作業従事者に影響を与える船体動揺等の国際基準を基にした、漁船労働環境の特徴と、省力型漁船、特に一人乗り漁船の労働環境中、作業の安全性向上に重要な課題についても明確化した。 同分析及び考察結果を基に、下関市西方海域を漁場とする建網漁業、小型底曳き網漁業の、漁船甲板上での漁労作業を対象とした乗船調査を実施した。同乗船により収集した映像、船体動揺等のデータを基に、漁船甲板上での漁業従事者の動作を分析する手法について考案した。すなわち一人乗りでの漁船運航中に行われた作業内容を「操船」「揚網」「投網」「漁獲物処理」「投棄対象処理」「道具」「漁労機械」の計7項目に分類し、各項目(作業)数を時間経過毎の作業量の指標とした。また、漁場における作業工程を単位作業、要素作業に分類し、漁網1反を最小単位とするなど、各作業内容と作業時間の分析を行った。同分析結果と、乗船調査後に実施した、漁船甲板上での各動作時の安全確保に関する、漁業従事者の主観に関する聞き取り調査の内容を比較した結果、各単位及び要素作業に要する時間が、作業毎に大きく変動する場合に、作業の危険性や困難度が増すことが分かった。さらに、同作業時間の変動を作業内容の指標として、作業内容に関する前記7項目を対象に分析を行い、漁船の性能に関わる船体性能等との関連性を調べた結果、作業性を向上する上で船体運動、特にyawingの安定化が重要であるなど、漁船の性能の中で、作業性を向上する上で有効な、具体的な改善内容について明らかにすることができた。
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