2011 Fiscal Year Annual Research Report
結晶性キチン高分解能を示す海洋生物キチナーゼの構成ドメインとその構造・機能特性
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21580254
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松宮 政弘 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (60150702)
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Keywords | キチナーゼ / バイオマス / α-キチン / キチンオリゴ糖 / 基質分解特性 / N-アセチルグルコサミン / 遺伝子 / クローニング |
Research Abstract |
自然界に豊富に存在する強固な不溶性αキチンを低分子化し、機能性食品素材として有効利用するのに適した酵素の精製、機能解析、cDNAクローニングおよび発現系構築を進めた。 1.カサゴ胃およびコウイカ肝臓よりキチナーゼを精製し、その性質を明らかにした。コウイカ肝臓の本酵素はpH3.5に最適pHを示し、pH4-6で安定で、最適温度は50℃に認められた。本酵素のpNp-(GlcNAc),(n=2-4)に対する分解能はpNp-(GlcNAc)2>pNp-(GlcNAc)3>pNp-(GlcNAc)4だった。また、本酵素は(GlcNAc)5を分解し、family18キチナーゼと同様にβアノマーの増加した(GlcNAc)2,3を生成したことより、エンド型のキチン分解酵素と判断した。本酵素は0.5MNaCl存在下で1.5倍に活性が上昇した。 2.イサキ胃およびマサバ胃キチナーゼアイソザイムのcDNAをクローニングした。Total RNAを抽出し、逆転写酵素を用いてmRNAよりcDNAのテンプレートを合成した。脊椎動物ファミリー18キチナーゼの保存配列より縮重プライマーを設計し、RT-PCRにて350bpのDNAフラグメントを増幅させた。この塩基配列を解析し、上流および下流域のプライマーを設計し、5'および3'RACE法により上流および下流域を増幅させた。さらに全長の遺伝子をPCRにて増幅させ、イサキより2種、マサバより1種のキチナーゼの全配列を明らかにした(アクセッションNo.取得済み)。これらのキチナーゼの全長cDNAは、N-末端側よりシグナルペプチド、family18活性ドメイン、リンカーおよびキチン結合ドメインにより構成されるキチナーゼの配列をコードすることが明らかになった。また活性ドメインのアミノ酸配列には、他の脊椎動物family18キチナーゼのactive siteと一致する配列が認められた。 3.マサバ胃およびシログチ胃キチナーゼアイソザイムの大腸菌による発現大腸菌発現用ベクター(p-coldTF)に表記キチナーゼ遺伝子を連結し、大腸菌内に取り込ませた。37℃で生育後、IPGEを添加し、15℃で24時間生育させ、低温下でキチナーゼを発現させた。現在、可溶性酵素の調製および精製を進行中。
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Research Products
(13 results)