2009 Fiscal Year Annual Research Report
流域環境を巡る農林水産業の利害対立と地域マネジメント政策に関する研究
Project/Area Number |
21580266
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
濱田 武士 Tokyo University of Marine Science and Technology, 海洋科学部, 准教授 (80345404)
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Keywords | 流域環境 / 農林水産業 / 地域マネジメント政策 |
Research Abstract |
本研究は,流域環境を巡り利害対立化している農林水産業のための政策理論(地域マネジメント政策の理論)を考察するものである。調査対象地区としては,北海道根釧台地の流域圏,山口県椹野川流域とする。環境再生活動のための地域マネジメント政策の理論を考察するためには,「利害対立の構造」,「地域マネジメント主体の組織化の道筋」,「環境再生事業の推進力」を明らかにする必要があると考えた。 本年度は、まず、文献調査により、流域圏に関連する国土開発政策の事例,特に,農林水産業開発と関連した事例を調べ,そのことによる,公害問題,紛争問題,講じられてきた処方箋を整理した。開発行政の展開を国家レベルから地域レベルまでどのような態様であったのかを整理した。 次に、実態調査から次の状況を整理した。調査対象地は、両地域とも高度経済成長期に行われた農業開発が流域圏の環境悪化と関係していた。そして、両者とも流域圏で農業を営む農業者、河川あるいは河口域の漁業者、そして森林組合と一般市民との連携した活動により環境再生を図っていた。 さらに、自治体がこの環境再生の諸活動を強くバックアップしていることも共通している点である。それは、自治体が流域圏の暮らしと産業をどのように共生させるかといった地域づくりの課題に取り組まざるを得なくなっているという証でもある。 環境再生の組織活動は、基本的には問題意識の高い市民や河川の受益者が行ってきた。その後の自治体の支援体制の整備は、地域マネジメント主体の形成に大いに役立っているものと考えられる。 次年度は、なぜ、そうなるのかといったところを解明する。
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